いざ尋常に…




誰だっけ、この声。聞いたことはあるのだが。

思い出せないのでもういいやと私は問題集と睨めっこする。声の主は教室に入ってきたのかペタペタとスリッパの音を鳴らしながら近付いてくる。



「あー、やっぱり!女バレの相川さんじゃん!」

「誰かと思えば高尾くん?体育館外で会うの久しぶりだね」



たか…高尾?あ、あああああ!

思い出した、昨日、緑間と一緒にいた、あいつか!

そう思った瞬間私は顔を更に俯けた。美桜と知り合いだったとは。まぁ美桜は美人だから有名なのは知ってたけども、でも!

何となく顔を伏せていると、その高尾とやらはあれ?と声を上げた。



「…どっかで会ったような、」

「……」

「相川さんの友達?」

「そうだよー」



止めて、本当に。美桜そのまま高尾と世間話してて。

そんな願いは…あっさりと砕かれた。






「…昨日いた子だよね、学年2位の雛畠咲穂さん」






ガタッ!



思わず椅子を倒してしまうほど驚いてしまった。

待って、何で名前知ってるのおかしくない?何で?え、ストーカー?



「ちょ、待ってストップ。何か俺凄い勘違いされてる気がするから言い訳するけど、雛畠さん知らない方がおかしいっしょ」

「……は?」

「まぁ学年2位だもんねー。名前くらいは皆知ってるよそりゃ」



隣で梨子がにやにやしながらこちらを見てくる。くそ、笑うな梨子め!



「俺、高尾和成ね。昨日真ちゃんをすっごい顔で睨んでたから面白い奴だなーって思ってたんだよ、雛畠さんのこと」

「……」

「ていうか雛畠さんって真ちゃん嫌いなの?」



隣の美桜にそう問うと、美桜はあー…とばつの悪そうな顔をした。



「まぁ、咲穂が勝手にライバル視してるっていうか」

「ちょっと美桜!」

「あ、ごめん、でも事実だし」



全く反省すらしないこの子どうなの。いや別にいいけど。

もういいや。私は降参した。とりあえず高尾に緑間は私はライバルです的なことを言っておいた。すごい笑われたけど。


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