いざ尋常に…
緑間真太郎が誰かと分かった私はそこから更に勉強に力を入れた。
あんな背の高い緑の髪したやつ、私が1位とって見返してやると思ってからのやる気といったら、梨子がドン引きするくらいであった。
「…でもさー、緑間くんってカッコいいし人気あるよね、何気に」
「咲穂、実は気になってるんじゃなーい?」
「気にはなってるけど断じてそういうものは無いよ、美桜(みお)」
目の前に梨子、そしてその隣にいる相川(あいかわ)美桜はそう言ってにやりと笑った。
正直本当にそういう感情は無い。あいつにそういう感情持ち合わせるくらいなら、あの金髪の…宮なんとかさんの方がいいわ。別にそれもどうでもいいのだけれど。
「ていうか明日からテストとか有り得ない、咲穂の頭欲しい」
「じゃあ頑張って英語やってね、美桜。明日のテストは英語からだよ」
「うげ」
美桜も梨子と同じくバレーボール部。ただしマネージャー。彼女も部活をギリギリまでやっていた結果がこれである。
彼女達と放課後勉強しながら、私はあいつに勝つことだけが頭から離れなかった。
本当に、負けたくない。
その時だった。
「…あれ?」
ふと、廊下から昨日聞こえた声が、響いた。