休憩と猫



相手は私は知らないのだが、とりあえず秀徳の圧勝だった。

途中でレギュラー温存か知らないけど緑間はすぐに下げられ、多分準レギュラーだと思われる人が入った。

つまりのところ、美桜にとってはあまり高尾を拝めなかったようで。

梨子とふたりでぶーぶー文句言っていたので面倒だなと思って私はトイレに行くふりをしてその場を離れた。

学校は休日ともなると人がほとんどいない。風が涼しい。

体育館を出、中庭に出る途中…私は足を止めた。



「(あ、)」



水道場に誰かいる。

しかもさっき、名前を覚えた…宮地さんだ。



「(何してるんだろ)」

「っ、…やめ…」

「?」



そっと近づくと、彼は何かを抱いているようだった。

それが人なら間違いなく回れ右をするわけだが、……不覚にも、猫だった。



「っおい、頬なめ…」

「……」

「……」



目が合ってしまった。



「……おい、」

「あ、はい」

「今の……見たな?」

「ええばっちり。猫にデレデレな顔してましたね」

「っ!」



猫を手放した宮地さんはぐいっとこちらにやって来、そして壁に手をついてこちらを上から見下ろしてきた。

しかしその顔は真っ赤で、多分いま彼は死ぬほど恥ずかしいのだろう。



「い、言ったら殺すぞ!」

「……誰にでしょう」

「全員だ!」

「分かりました、じゃぁせっかくなので……」



私も猫、触らせて下さい。



そう言った瞬間、宮地さんは目をぱちくりさせた。


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