【速報】ライバルが変人
もう本当、今日は嫌になる。
放課後になり、梨子と美桜の二人は部活へ行ってしまった。
私は特にすることも無いのでさっさと帰ろうと鞄を手に取った。そしてふと視線を上げると、教室の扉に見たことのある人物が通り過ぎていくのが見えた。
確か…高尾だ。
すると彼もこちらに気付いたのか、面白そうな顔をして手を振ってきた。イラッとしたのは気のせいだ、うん、気のせい。
「久しぶり、雛畠さん」
「どうも」
「また真ちゃんに負けたね。どんまい!」
「うるさい滅べ」
言われると思ったが止めてくれ聞きたくないぜそんな事実。
そう思っていると、高尾の後ろから、声がした。
その声は誰か分からなかった。が、姿を見た……その瞬間。私は叫んだ。
「高尾、早く来るのだよ」
「ーっ、お前は!!!!緑間!!!!」
「……誰なのだよ」
「ギャハハハハ!!雛畠さん面白ぇ!!ギャハハハハ!!」
そう、彼は前見た、緑間真太郎その人だった。
背が高くて首がもげそうだと思ったが、それ以上に、手の上に乗っている豚の貯金箱が気になって仕方がない。
「…高尾、」
「怒るなよ真ちゃん。この人、お前のライバルだってよ」
「は?」
「高尾くん少し黙って」
そう私は言うと、緑間と目線を合わせる。くっそ背高い。そして威圧感やばいけどこれは負けてられない。
「…雛畠咲穂」
「…?」
「私の名前。次の期末では負けないからね絶対に!」
「…俺は負けないのだよ。何故ならば人事を尽くしているからだ」
そう言って差し出してきたのは、豚の貯金箱。え?
「何これ」
「ラッキーアイテムだ」
「……は?」
「ラッキーアイテムなのだよ。おは朝を知らないのか?」
そう言われ、私はよく考える。
おは朝は知っている。よく当たる占いコーナーをやっているところだ。
そして私は占いが嫌いだ。ラッキーアイテムとか興味も無い。
そして目の前にいる彼。
「…そのラッキーアイテムは、おは朝で言ってたの?」
「当たり前だ」
「……」
何で私、こいつに負けたの?!
そう思った瞬間であった。