関西弁の男
2011/09/26



完全なパラレルではない、かな?
文字の関西弁が苦手な人は注意!






「だから出せってんだろ!」

古びた、汚らしい店の奥で男の罵声が響いていた。その罵声は店の外にも少しばかり漏れる程に大きな声だった。

「そない言わはりましてもなあ、あらしませんもんは出せませんのや」

罵声を浴びせられているのはまだ若い、二十代前半、もしくは十代後半にでも見えるくらいの男だった。すすき色した髪はくせ毛だろうか、逆立っている。カウンターの中で困った笑みを浮かべている。
店は雑貨屋、と言えばいいだろうか。置物だったり、実用品や装飾された見かけないような珍しい物までおいている。すすき色した髪の男はこの店の店長している。

「ここに行けばあるって聞いたんだよ!」
「誰が言いはったかなんか知りませんけど、アメリカやないんやし、さすがに銃みたいな危なっかしいもんはこない古びた雑貨屋なんかに置いてまへんえ」

店長が話すように、ここは関西、京都である。少し男の喋り方に大阪寄りのニュアンスがみられるのはこの店長が昔、大阪にいたからだ。

「おや、いらっしゃい」

鈴の音がして戸が開いた。にっこりと店長が笑う目線の先には黒い男性というには少々早い、少年だった。少年もまた口の端を吊り上げている。

「テメェ聞いてんのかよ!」
「聞いてますがな。さっきからないて言うてますやろ?お宅さん、堅気やあらへんみたいやし、その筋で当たってみた方がよろしいんとちゃいます?」

店内に少年を入るのを確認し、視線を怒鳴る男に戻して店長はまた困った顔をした。堅気じゃない、と言われた通り所詮男はヤのつく職業であり、チンピラである。

「隼人、アサリさんとこから来はったさかい、お茶でも出したってぇな」

くるりと振り向いて店長を店の奥にそう呼びかけた。わかりました、という声がそこから聞こえた。

「もう諦めはったらどないです?ないもの出せ、なんて出来へんのやから」

諭すようにそういうのと同時に、灰色がかった銀髪の男が中から出て来て、どうぞ、とカウンター近くの椅子に座る少年にお茶を手渡した。おそらくこの者が隼人だろう。

「大変だな」
「最近は減りましたよ」

銀髪と少年が話すのはもちろん、店長のことだ。店長と違い、銀髪の男には関西の訛りはないようだ。

「チッ…ガセネタかよ」
「もしもそないなことまだ言わはる人がおるんやったら、ちゃうんやで、とお伝えくださいね」

その言葉を聞いて、男はフンと鼻を一つ鳴らして店を後にした。店内に残るは店長と銀髪、黒に身を包んだ少年の三人だ。

「上手くなったもんだな」
「なんやオレはえらい順応性は高いらしいんで。せやけど、ほんまに隼人は全く上手ならへんね」
「貴方の順応性が高すぎるんです。普通そこまで五年やそこらでなれません」
「そやろか?まあ、二年前まで大阪やったからまだ大阪訛りは続いてるんやけどね。イントネーションの違いとかそこらはまだ少しあかんなあ」
「でも最近バレてないですよね。関西出身だと思われてますよ」
「努力の賜物や、言うてくれる?京都来てからはバレたことあらへんわ」

くすくすとレジカウンターに頬杖をついて店長は笑う。そんな様子に少年は呆れていた。

「もういいだろ。今誰もいねーんだ」
「はいはい。もっと褒めてくれてもいいんじゃないの?」
「だから上手くなったって言ってんだろーが。下手で聞いてられねーようなもんではなくなったしな」
「イントネーションはなかなか、ね。難しいよ関西弁。京都と大阪違うとか驚いたし」

今店長の話すのは所謂標準語。元々この店長、関西の出身ではない。生まれも育ちも関東である。
郷に入ったら郷に従え、とのことで関西に来た五年前から少しずつ、つられている風を装い話だしたのであった。元々高い順応性も手伝い、今ではだいぶ操れるようになっていた。

「そろそろ下準備はできてきたぞ」
「ヴァリアーや九代目は?」
「来るのはいつでもいいとさ。山本はもうこっちに渡ってるぞ」
「チェデフはどうですか?」
「この沢田綱吉の父親だぞ?ツナの為だって常に万全に対策をとってある」
「駄目親父なのにやるじゃん。そっちの準備が出来たら飛ぶよ」

似合わないニヒルな笑みを店長、綱吉は浮かべて頷いた。そんな笑みに銀髪の男は威勢よく返事を返し、少年は満足そうに笑っていたのだった。

「継承式に全て終わらせるよ」







----------

関西弁楽しいけど
商売人の言葉なんか
今ほとんど使われませんよねー

補足。

多分嫌われ後。
殺されかけた綱吉が獄寺と関西にリボ達に逃がされる。関東より安全じゃね?とのこと。お店は適当。でも設定として、本当は火薬とか銃とか銃弾もお取り扱いしています。
嫌われ後、なのは継承式に終わらせると言ってますので、なんらかのことがありボンゴレ十代目に別の人物(綱吉を殺そうとしたファミリーの子息か令嬢)が着こうとする。でも「ふざけんなよ、テメェにやるならザンザスのが何倍もマシだし。つーかならオレなるし!」的な(アバウトすぎる)感じで、その継承式をする時に潰すという計画。
ヴァリアーや九代目、門外顧問も綱吉の味方。守護者もなので、綱吉味方多し!


京都に寄せたけど大阪訛りなのは
つばさの元々が大阪主体だから。
神戸も若干入りますが
コレにはでてない、はず。



prev | next


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -