独り暮らし
2011/08/17


パラレル



もうそろそろ家を出ようと一人暮らしを始めたのは二十歳を過ぎて少ししてから。最初こそ友達を呼んでわいわいと賑やかにやっていたのだが、それも最近では煩わしくもなり、慣れもありで少なくなった。
そんな時に思うのだ。自炊して洗濯して掃除して。
実家にいた頃はすべて母親任せで軽い手伝い程度しかしていなかった。だけども今では全てにおいて自分でやる。
中でも幸いしたのが料理だ。料理上手な母親に食べさせてもらい、教えてもらって人が来ても恥ずかしくないぐらいはできている。自分でもまずくはないとも思う。
でも。それらをしている時にふと思うのだ。寂しいな、と。
実家にはたくさんの居候、子ども達がいる。やはりあの賑やかさに慣れている自分に、一人で過ごす時間は無音過ぎた。同級生は中学生から一人でそれを過ごしたと思えば、ひどく切なくなると同時にすごいと思えた。あの頃の自分にはきっと堪えられない、と。

「最近帰ってないし、一回帰ろうかな」

口に出す音すら物悲しい。テレビの音がやけに大きく聞こえた。
そんな時だ。チャイムが鳴り響いたのは。

「はーい」

がちゃりと開ければ見たことあるような気がする顔。だけど名前が浮かばない。
どちらさま。とでも言いたいが、なんとなく黒に身を包む彼には言い出せない。言ってはいけない気がしたのだ。

「迎えに来たぞ」
「は?」
「覚えてねーのか、オメーは」

馴れ馴れしい。だけど懐かしくも感じる。その正体はわからないままであっても。

「パスポートはあるな」
「持ってるけど…」
「なら行くぞ」

そう言って彼に強引に抱えられた。所詮お姫様抱っこというやつだ。
確かに年下のはずの彼。いくら童顔でも自分の歳もわかるし、抱えられるような歳でもない。

「なにすんだよ!つーかどこに!」
「イタリアだ」

飄々と言われるそれに、自分はなす術はなかった。








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先が思いつかない。
なんとでもなりそうな出だし。
綱吉は多分二十代後半かな。

一人暮らしなんて
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