「ァア˝!?これで何回目だと思っている!!!」 木ノ葉隠れ火影邸執務室にて、任務報告を受けていた綱手の怒声が響き渡った。 部屋にいたイズモ、コテツ、シカマルがビクリと肩を跳ね上がらせる。 「その上アスマまでやられるとは・・・!!」 「あ、あの、入院してはいますが・・・やられたわけでは・・・」 「あぁそうか。それならいい・・・が、問題はアリスだ!大蛇丸に攫われて!暁に攫われて!これで三度目だぞ!!戻って来る来ない云々ではないだろう!」 「そのことなんですが・・・」 「それにあいつに何かあったらアタシにも小言が飛んでくるんだ!上役の奴等好き放題言いやがって・・・!」 「綱手様・・・あの、」 「シズネ!すぐに全小隊にアリス奪還の指令を出せ!」 「はい!」 「ま、待ってください!!」 シズネがバタバタと部屋から出て行こうとしたところでコテツが声を張り上げる。そうしてやっと綱手とシズネは動きを止めた。 「なんだ、急ぐことじゃないなら後にしてくれ」 「いえ・・・その、アリス様の事ですが・・・木ノ葉病院に入院しています」 「は?」 「ですから、増援とアスマ隊長のご活躍でアリス様は我々と共に里に帰還しています」 ────────── 目が覚めたらまず真っ白な天井が目に飛び込んできた。はっきりしない頭で室内を見渡せば見覚えのある部屋。 「・・・木ノ葉、病院」 まさかあの後戻ってこられたというのか。てっきり連れて行かれたものだとばかり思っていたのに。 何があったのか全く分からないため早く現状把握をしたい。が、誰も来そうにないし体が怠い。もう一眠りして見舞いの人が来るのを待つことにしよう。 それから数時間後、ウトウトしていたアリスはノックの音に気付いて外の人物に声を掛けた。 勢いよくドアを上げて入ってきた二人に安堵の表情を見せる。 「「アリス様・・・!」」 「イズモ、コテツ・・・無事で何よりだわ」 目を覚ましたアリスを見て涙目になるイズモとコテツ。アリスは苦笑い気味に言葉を零した。 そして二人によるとどうやら数日間寝込んでいたらしい。胸元と腹の傷、背骨と内臓の破損が大きくて暫くは寝たきりだそうだ。 「何にしても戻ってこられて良かったです」 「それにしてもよくあの状況でわたくしを取り戻すことが出来たわね」 「アスマ隊長と援軍の活躍で、なんとか・・・因みにアスマ隊長も入院していますが暫くしたら退院できるそうです」 「そう・・・。まったく、あんなところで脱落しているようでは、わたくしもまだまだだわ」 ふう、と大きく息を吐くアリス。自己治癒力が高いとはいえ全快までは時間がかかりそうだ。 「木ノ葉に暁が来る前にどうにかしなければならないのに・・・」 「あぁ、そのことなのですがシカマル達が行きましたよ」 「・・・はい?」 「ですから、元第十班がカカシさんを隊長に暁抹殺のため昨日里を出ました」 しーんと病室が静まる中、アリスの顔色が変わっていく。漸くイズモの言葉が呑み込めた瞬間「なんですって!?」と声を上げてベッドから飛び起きた。 痛みに体を強張らせるアリスをイズモとコテツが慌てて支える。 「たったの四人で暁を相手取るというの!?上忍一人と中忍三人よ!?」 「落ち着いてください!そこは増援を送るので心配ありません!」 「だったらわたくしもその増援のメンバーに入れなさい!」 「それこそ無茶ですよ!暫くは任務も修行も禁止です!」 すぐにでも病室を出ようとするアリスを何とか阻止する二人。 どきなさいどきませんを繰り返して数分、病室のドアがノックされた。一時休戦とばかりに落ち着いて入室許可を出す。 騒がしい室内に何事だと言いたげなサスケが入ってきた。 「サスケったら聞いた?カカシ先生達わたくしをおいて行ってしまったのよ」 「知っている。五代目から、お前が起きたらカカシ達の後を追わないよう見張っておけと言われた」 「貴方まで・・・!」 味方ではなかったことにアリスが頭を抱える。 割と元気そうではあるが怪我人は怪我人だ。此処で無理して今度こそ連れていかれたらシャレにならないと、サスケは眉を顰めた。 「諦めろ。怪我が治るまで大人しくしているんだな」 「サスケ・・・」 「駄目だ」 きっぱり切り捨てられて肩を落としたアリス。イズモとコテツはそれを見て安堵したのか、サスケに任せて仕事に戻っていった。 しかしその後連絡事項を伝えに来た暗部にサスケが対応して監視の目が緩まった時、窓が開く音がしたと思ったらアリスの姿は消えていたという。
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