所変わって暁と交戦中のカカシ達は危機に直面していた。 そこへ── 風遁・螺旋丸! 水遁・破奔流! 颶風水渦の術!! いのとチョウジ、そしてカカシが角都に捕らえられて消し飛ばされそうになった瞬間、双方の間に竜巻が起こる。 「──遅くなって済まねーってばよ」 辺りの霧が散ったとき、そこには増援に遣わされたナルト達が立っていた。 「ふー・・・いいタイミングだ」 ホッとした表情で息を吐いたカカシが己の前に立つナルトとヤマトを見る。いのとチョウジも安堵の表情浮かべた。 「こんなカッコ悪い先輩は初めて見ましたよ・・・この敵、相当強いですね」 木ノ葉屈指の実力を持つカカシが押されている様子にヤマトは眉を顰める。 不意にシカマルの姿がないことに気が付いてどうしたと声を上げるナルト。それにチョウジはもう一人の敵と別の所で戦っていると答え、ヤマトの指示でサイとサクラがそちらへ向かった。 「──こっからは俺がやるってばよ」 「完成、したのか・・・?」 「いえ、五割程度です。・・・けど、まぁ見ててください。以前のナルトとは別人ですよ」 ナルトが印を組んで二体の分身体を作り出す。 その後ろでヤマトがカカシに状況説明と敵の能力の情報を求めた。 敵は暁二人。一人はシカマルが交戦中。もう一人、目の前の奴は分裂する能力がある。両肩の面が本体から抜け出して分裂するのだがその面一つ一つに心臓があり独立して行動する。 初めは五つの心臓を持っていたが今は二つ減らしてあと三つ。つまりあと三回殺さないと倒れない。 それと、中距離タイプであらゆる性質変化を使う。 説明を聞いたヤマトはどうりでカカシが手こずるわけだと顔を険しくさせた。 「ナルト!」 「ちゃんと聞いてたってばよ!」 ヤマトの声に応えたナルトの分身体が走り出す。一人が地怨虞に捕らえられて、もう一人がその陰からクナイを放った。が、躱されてやはり捕らえられる。 「(あの攻撃スピードと戦闘スタイルからして陽動には最低でも影分身が三人はいるってばよ・・・)」 影分身の情報をオリジナルに蓄積したナルトは今度は三人の影分身を作り出した。 三人が集まって掌にチャクラを集中し出す。すぐに螺旋丸らしきものが出来上がったが、いつものそれとは少し違った。 「なんなの、あれ・・・」 「すごい高音・・・なんてチャクラだ・・・」 目を見張ったいのとチョウジが小さく零し、角都も今まで見てきた術とは違うと察して冷や汗を流す。 ──風遁・螺旋手裏剣 「これで決めるってばよ!」 陽動となる三人とオリジナルのナルトが角都に向かって一斉に走り出した。 まず一人、跳躍したナルトがクナイを振り下ろすが地怨虞に囚われ、続けて二人目三人目が両サイドから攻める。が、それも肩の面から噴き出した炎と風に消し飛ばされた。 しかし角都が三人の陽動に気を取られている隙に背後に回り込んだオリジナルのナルト。 振り向けば目の前にあった螺旋手裏剣に角都は目を見張った。 「しまっ・・・!」 「うぉらァァ!!」 思い切り踏み込んで術を叩き込む。 そして、耳鳴りのように甲高い音を上げていた螺旋手裏剣は角都の腹にあたる直前で突然消えた。 辺りを静寂が支配する。 「えっ?」 「何・・・勝ったの・・・?」 困惑するチョウジといの。 ヤマトが「失敗だ」と、そう言った。 すぐさまカカシが走り出してナルトは角都と距離を取るべく地を弾く。 ナルトを追う地怨虞の方が早い。 しかしその地怨虞が届く前に何故かナルト達の目の前から角都の姿が消えていた。 ほぼ同時に近くの木の根元が轟音を立てて破壊され、盛大に土煙が舞う。 「何っ?今度は何が起きたの!?」 「なんだってばよ!?」 「カカシ先輩!」 「分からない・・・気を抜くな」 メキメキと音を立てて崩れる大木にナルト達が目を見張った。土煙が晴れるそこ、誰かがいる。 「──あぁ、やっとあの時の借りが返せたわ」 随分と聞き覚えのある声。 そしてそれは、此処にいるはずのない人物のものだった。 [ back ] |