巡り会いてV | ナノ

ナルト達が帰ってきたとの連絡を受けて、アリスは火影邸へ向かった。
執務室に入れば綱手にシズネ、第七班、数匹の蝦蟇を連れたフカサクが一斉にこちらを振り返る。

「待たせたわね」
「いや、いい」
「アリス!暁のペインって奴と戦ったって本当か!?しかもエロ仙人が意識不明って・・・!」
「落ち着いてナルト。
 確かに戦ったわ。情報収集兼自来也の援護でね。心配しなくても自来也は大丈夫よ。その内目を覚ますから」

詰め寄るナルトをどうどうと宥めるアリス。綱手はそんな二人を止めて雨隠れでの出来事を報告をするよう促した。アリスが真剣な表情で綱手に向き直る。

「混乱を避けるために確実な事だけを報告するわ。
 まず暁のリーダー・ペインが雨隠れにいるというのは本当よ。内戦は当の昔に終わっていたらしく半蔵が失脚してペインが里長として里を治めてる。
 で、そのペインが輪廻眼を持っていてね・・・しかも六人いたのよ」
「六人?どういう意味だ」
「輪廻眼、六人いたの。一人は自来也が倒したけれど」
「は?」

ただでさえ伝説とされている輪廻眼が六人いたと聞かされた綱手が眉を寄せる。反対にナルト達は疑問の表情を浮かべていた。が、説明は省かせていただこう。
そして怖い顔のままで「何故輪廻眼がそんなにいる」と訴えかけてくる綱手には降参のポーズで分からないという意を示した。

「ただあの輪廻眼は繋がっているようでね・・・視覚情報を共有しているからとても厄介。能力は一人一系統で、術を吸収するのと口寄せを使うのとカラクリ人間と引力・斥力を操るのを見たわ。それと原理は分からないけれど殺したはずの奴が生き返ったとか。
 ・・・と、まぁわたくしとフカサク殿合わせての情報はこれくらいかしら」

大人しく聞いていたフカサクに目を向ければ「うむ」と肯定の返事が返ってくる。難しい顔で綱手が頭の中を整理し始めた。しかしまだ一番大切な情報を伝えていない。

「最後に自来也から預かっている情報があるわ」
「自来也から?なんだ」
「『本物はいない』ですって」
「・・・意味は」

訳が分からないと言いたげな表情で問うてきた綱手に両手を上げて「さぁ」と肩を竦めてみせる。そのままの言葉で捉えていいのか、それとも何か深い意味があるのか。
残念ながらそれだけ言って倒れた自来也は未だ病室のベッドの中だ。
重要な情報が入っても理解出来ないのではどうしようもないと綱手が深く息を吐いた。

「お手上げだな。自来也め・・・もっと噛み砕いた表現は出来なかったのか」
「傷が深かったし血を流しすぎたからギリギリだったのよ。恐らく伝えたかった情報の中で一番のキーワードがそれだったんだわ」
「アリス、お前はどう見た」
「駄目ね。簡単な言葉だからこそ深く考えてしまって、もう纏まらなくなってる」

あの六人がペインじゃないという意味か輪廻眼が本物じゃないという意味か雨隠れにいたペインは幻術だったという意味かそもそもペインという存在自体がないという意味か──
次々と出てくるアリスの見解に綱手がストップをかける。なるほど考えを広げすぎて混乱してくるわけだ。自分達まで余計な先入観を持ったり思考が散らばったりしそうになる。

「仕方ない、これはシカマル辺りにでも任せましょう」

ふう、と息を吐いたアリスが一旦話を区切り、そしてそれを察したフカサクが他に二つの手掛かりがあると切り出した。
雨隠れの忍とペインの死体だ。


「──それじゃ、わたくしはそろそろ戻るわ」
「あ、ちょっと待ってくれってばよ!」

粗方話を終えたアリスが体を返した時ナルトが声を上げる。立ち止まって振り返ると曇った表情のナルトと目が合った。何か良くない話だろうか。

「あのさ、あのさ、サスケってばまだ帰ってきてねーの?」
「えぇ。イタチと戦った傷を癒す時間を考えるともう少し掛かるのではないかしら」

もしくは帰ってこないか。
“暁”は今メンバーの殆どが戦死して戦力不足だ。写輪眼を持っているサスケが“暁”に勧誘されてもおかしくない。もっとも、サスケがそれに応じるとは思えないが。
しかしながらマダラを名乗ったあの男──ペインよりも厄介な存在であることは間違いない彼がどう動くかでまた結果は変わってくる。変に話を拗らせていないことを願いたい。

改めて退室の言葉を述べたアリスは執務室を後にした。


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