「暁か・・・厄介だな」 「暁?隊長、奴等をご存じなんですか」 暗部の質問に雪華は気を緩めることなく「あぁ」と口を開く。 「犯罪組織“暁”・・・各国の抜け忍約十名で構成されており、確認済みのメンバーは皆S級犯罪者という曲者揃い・・・」 「良く調べてやがるな」 「ならオイラ達のことも知ってるってわけか」 そう言って笠を外した金髪に続き、他の三人も顔を露わにする。 視線を巡らせた暗部達は三つ巴の浮かぶ赤い双眸を持つ彼に目を見開いた。 「うちはイタチ・・・!?」 「彼も暁メンバーだ。背が高いのが霧隠れの干柿鬼鮫、猫背が砂隠れのサソリ、金髪が岩隠れのデイダラ」 「やはり我々のことを調べているのは貴方で間違いないですね」 「何のことだ?」 「今更とぼけるなよ」 元々低かった声が更に低くなったサソリに、雪華は息を吐いて肩を竦めた。 「まいったな、気付かれていたか。・・・で?辺りを嗅ぎ回る不審者一人にこの人数は大袈裟だろう」 「テメェを消すだけならな、うん」 「他に目的があるのか・・・」 ピンと張りつめた空気。正直こちらの分が悪い。 確かに精鋭揃いの暗部だが、任務帰りである上に相手はS級犯罪者だ。生きて帰れるか、否か。 「そろそろやりましょうかねぇ」 そう言って鬼鮫が鮫肌を肩から降ろせば、身構えていた雪華達の緊張もさらに高まってゆく。 「・・・三人共、“あれ”の効果はまだ続いているな?」 「はい、私は大丈夫です」 「同じく」 「私もです。しかし隊長のチャクラが・・・」 「問題ない。だがあまり長期戦に持ち込むな。私のチャクラもそうだが、そもそもあの効果が切れてしまっては元も子もないからな」 両者が戦闘態勢に入る。先に仕掛けたのは── 「喝!!」 背中合わせの雪華達四人の頭上で、大きな爆発が起こった。もくもくと上がる煙を見つめながらデイダラが目を細める。 「もう終わりか?うん?」 「いや、まだ四人共チャクラがある。・・・来るぞ!」 イタチの言葉と同時に煙の中から四人が飛び出してきた。一対一に持ち込むようで、雪華はイタチにクナイを構えて突っ込む。甲高い音が辺りに響き渡った。 「──速さは中々だな。だが一人で勝てると思っているのか」 「さあな。ま、私はともかくアイツ等は死なないさ」 揺らぐことのない自信にイタチは目を細めた。雪華はそれを見て喉を鳴らして笑うと、彼と距離を取って「まぁ見てみろ」と一点を指差す。 そこには鬼鮫と戦う狐面の暗部。大刀を扱い力で攻める鬼鮫に対し、暗部は小太刀でスピード重視の応戦していた。 「ちょこまかと鬱陶しいですね・・・」 鬼鮫の攻撃を素早く避けて切り込む暗部。切って、避けて、防いで、と暫くやっていると暗部は自身の体の異変に気付いた。 「(チャクラの消費が激しい・・・どういうことだ)」 「おや、気付いたようですね」 「っ何をした!」 「削っただけですよ、貴方のチャクラを」 「その刀か・・・!」 そう言っている間にも鮫肌は振るわれて、チャクラが取られていく。 「(さてどうする。長引けば長引くほど不利になるぞ)──っ!」 考え事をしていると横から迫ってくる鮫肌。それを何とかしゃがんで避けるも、体勢を立て直す前に今度は上から降ってきた。 「終わりですね」 思いきり振り下ろされる。しかし── ガッ 叩き潰す直前に暗部を覆うようにして現れた薄い水晶の膜により、鮫肌は弾かれた。 [ back ] |