────────────── ──────────── ────────── ──────── ────── 少し前から、急に忍界に名が広まった木ノ葉の暗部がいた。 「隊長!一時の方向、五十メートル先にターゲットを発見!護衛は二十人程かと」 暗部名は“雪華”。特徴は腰まで流れる白銀の髪。 「分かった。気取られず出来るところまで接近した後、奇襲を掛ける」 本名、年齢、性別共に不詳。有名にもかかわらず謎多き人物。 「──ぐっ!?」 「なっ!敵襲か!?」 だがその実力は確かで入隊後程なくして分隊長に就任。 次々と任務を熟し、今も悪徳大名の抹殺を手掛けている。 「数多き己が罪、世間に代わり我々が断罪を仕る」 氷遁、晶遁の使い手であることからついた異名が── 「あの髪・・・間違いねぇ!──“雪結晶の雪華”だ!」 最期を飾る、氷の華が咲いた ────────── 「──終わったか」 「はい。ターゲット一人、ビンゴブックA級五人、その他十六人。全て始末しました」 死体の処理まで済ませて、雪華は小さく息を吐くと班員三人を見渡す。 「怪我はないようだな。・・・戻るぞ」 「「「はっ」」」 ス、とその場から消える四人。敵数が多く、戦力もビンゴブックA級五人を筆頭としていたが負傷者はいない。 実はこれが雪華の名が広まった一番の理由だ。 雪華が隊長として出向いた任務は、どれだけ相手の戦力が高かろうと、どれだけ人数が多かろうと、死者を出さない。 想定外の敵に会ったときは別として任務の範囲内で起こる戦闘では怪我をすることさえ珍しかった。 「──っ止まれ!」 火の国に入る手前辺りで突然、雪華が足を止めた。ピリピリとした雰囲気を纏って辺りを警戒しだす。後に続いていた暗部もその様子を見て周りを窺った。 「何かありましたか」 「・・・囲まれている」 「なっ・・・!?」 雪華の言葉に暗部はもう一度じっくり探るが特に引っかかることはない。 「気配は感じませんが・・・」 「あぁ、だがいる。・・・四人といったところか。数だけであれば互角だが・・・」 だが、暗部に気取られないほどの実力者だ。その時点でこちらと互角か、或いは相手の方が上手ということになる。 「どうしますか」 「撒くのは恐らく無理だな。応戦するしかないだろう。──出てこい!!」 雪華が声を張ると音もなく四方に現れる四つの影。纏っている装束を見て、雪華は面の下で顔を顰めた。 「流石雪結晶の雪華。思ったより気付くの早かったな・・・うん」 [ back ] |