創設期企画小説 | ナノ


こうして千手家へ来たツバキとマダラだが・・・弟よ、やはり二人を呼んだのは間違いだったのではないだろうか。現在進行形で二人のラブラブっぷりに精神力をガンガン削られているぞ。

「マダラ、マダラ」

抱きついて頬を擦り寄せるツバキと口付けを降らせるマダラ。嗚呼、本当にどうしたんだツバキ。お前はそんなキャラではなかっただろうに。

食事となれば食べさせ合い、風呂には一緒に入ろうとし、事あるごとに目を合わせて笑い合う・・・自分の家なのに居心地が悪すぎる。

「あー・・・マダラ、ちといいか?」
「なんだ、ツバキが寂しがるから手短に済ませろよ」

ちょいちょいと手招きすれば立ち上がってこちらに来るマダラ。・・・ツバキよ、頼むから捨てられた子犬のような目はやめてくれ。
マダラを廊下に連れ出して耳元に口を寄せる。

「本当にどうなっているんだ。何故ツバキがお前に・・・」
「・・・知らん。今朝会ったらあぁなっていた」
「心当たりはないのか?」
「全くないな。ま、悪い展開ではないのだからいいだろう」
「あ、おい待て!」

まだ話の途中だと言うも、マダラはツバキの元へ戻っていく。再びイチャイチャし出す二人に俺と扉間は揃って頭を抱えた。

そして一番きつかったのが布団に入ってからだ。四枚並べて敷いたのだが当然ツバキとマダラは隣同士。しかもツバキがマダラの布団に入り込んでしまった。
灯りを消した暗い部屋で、耳を塞ぎたくなるような、しかし先が気になるような声と音が小さく聞こえてくる。

「──あ˝あ˝あ˝あ!!!二人共やめろ!!俺達が眠れないだろうが!!」

とうとう耐え切れなくなった扉間が飛び起きた。うん、気持ちは分かるぞ。確かに目が覚める。

「ふん、オカズにしても良いぞ」
「誰がするか!!」
「強がらなくていい。相手のいないお前では想像するしかないだろう?生で聞かせてやるんだ。ありがたく思え」
「思えるか!」

叫ぶように言って肩で息をする扉間。
まぁいいじゃないか。男ならそういう事に興味を持つのは当然だ「あっん」し・・・聞きたくなるもの「ンッ」だろう・・・、・・・。

「マダラ・・・はぁ、あっ・・・恥ずかし、んんっ」
「あいつらの事は気にしなくていい」
「あああ!!やはり駄目ぞ!止めてくれ!色々な意味でクるから!!」

ほれ、ツバキはこっちの布団だろう。
木遁で二人を引き離してツバキを布団に放り込む。更にマダラを檻で囲ってしまえば扉間が「よくやった兄者」と胸を撫で下ろした。

「あぁマダラ・・・」
「大丈夫だ。すぐに須佐能乎で「頼むから止めてくれ静かに寝てくれ寝かせてくれ」」

俺と扉間で頼み込んだ結果、何とか手をつないで眠りに入ってくれたツバキとマダラだった。

──────────

次の日──

キャアアアァァァ!!!

ツバキの悲鳴で一日が始まった。
何事だと飛び起きれば兄者とマダラも同時に体を起こしたのが視界に入る。悲鳴を上げた張本人は未だ訳の分からない言葉を吐きながら壁に頭を打ち付けていた。

「お、おいツバキどうした!落ち着け!」
「来ないで近付かないで向こう行って!!あああ!もういや!!」

昨日とは別の方向で可笑しいツバキを兄者と共に止めようとするが酷く拒絶される。マダラが行けば顔を真っ赤に染めて手当たり次第にそこら辺の物を投げつけ始めた。
枕は良いが花瓶はやめろ。危ない。

「ツバキ・・・一体どうしたんだ」
「いや!喋らないで動かないで視界に入らないで!!
 あぁもう!何よ!何なのよ!昨日のあたくしは!!マダラと・・・マダラとあんなことを・・・!!」
「・・・ん?もしかしてツバキ、元に戻ったのか?」
「いやあああぁぁ・・・!」

駄目だ聞いてない。が、察するに俺達の知っているツバキに戻って、昨日の己の言動を悶えているのだろう。いつものあいつでは考えられない乱心っぷりだ。まぁ気持ちは分からないでもないが。

「兄者、木遁で拘束しろ」
「あ、あぁ、分かった!」

畳を突き抜けた木樹がツバキの体に巻き付いて自由を奪う。そうしてやっと少し落ち着いたツバキだが、動けない状態が不満なのか兄者をじっとりと見ていた。

「なぁツバキ、何があったんだ?昨日のお前は正直本物か疑ったくらいだぞ」
「それはわたくしの台詞よ・・・。でも昨日は違和感なんてなくて・・・あぁもう・・・柱間、昨日の記憶だけ消してちょうだい」
「まぁそう言うな。昨日のお前は愛らしかったぞ。甘えるように擦り寄ってきて口付ければ自分から舌を絡め「あああ!言わないでったら馬鹿!」」

口角を上げて愉しげに言うマダラに思い切り頭を振って拒絶するツバキ。
朝っぱらからのこの騒動、そろそろ纏まってくれないだろうか。

「全員落ち着け。取り敢えず飯にしないか?時間的に見てももう準備が出来る頃だろう。顔を洗って着替えて腹ごしらえをしよう」

兄者の言葉で何とかその場は納まり、俺達は寝室を出た。

──────────

「ほらツバキ、口を開けろ」
「じっ、自分で食べられるから・・・!」
「昨日は喜んで食べ「もう昨日の事は蒸し返さないで!」却下だ」

意地の悪い表情を向けるマダラからツバキが顔を逸らす。ある意味仲睦まじく見える二人を見ながら、やはり自分の家なのに居心地が悪いと考えていた。いや、昨日よりはマシだが。

それからもツバキとマダラの攻防は続いて、二人が帰る頃には既に一日分の気力が消費されている気がした。
結局ツバキがおかしくなった原因は分からずじまいだ。

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