────────── ──────── ────── 「よっしゃ!とうとう発表だってばよ!」 「ぜってー負けねぇ!」 「お菓子!!」 「めんどくせェ・・・」 総合試験から数日、ついに順位発表の日が来た。因みに試験の点数は一枚の紙に項目ごとに集計されて個人の手元に渡っている。が、それを見せ合うだけでは面白みに欠けるという事で互いの結果は順位発表で確認することになっている。 アカデミーの授業も終わり、玄関口に大勢の生徒が集まって発表を今か今かと待っていた。 「あたし、何位かなぁ」 「点数的には良かったから上の方にいけるかも!」 「いいなぁ。私、あんまり良くなかった・・・」 「あたしもー」 「でもさ、一番はサスケ君よねぇ!」 「だよね!サスケ君に決まってる!」 「フン・・・」 「「「キャア──!!サスケくぅ───ん!!!」」」 多くの女の子達の黄色い声が上がる。シカマルはそれを見て相変わらずだと呆れたように溜め息を吐いた。 一度盛り上がった年頃の女の子のテンションは中々下がらないもので、悲鳴のような歓声が消えたと思ったら再びキャイキャイと騒ぎ出す。 そんな中、先程までいたはずのアリスがいないことに気付いて辺りを見渡すチョウジ。 「ねぇ、アリスは?」 「あぁ、アイツならついさっき教室の方に戻って行ったのを見たぜ。忘れ物かなんかじゃねーか?」 そうこうしているうちに、イルカを含めた二人の教師が丸めた大きな紙を持ってきた。 「張り出すぞ」との言葉に辺りが騒がしくなる。脚立に乗って紙を固定する教師二人。 準備が整い、後は巻いてある糸をほどくだけだ。 「じゃあ発表するぞ!」 パラリ。音がして丸まっていた紙が伸びていく。 自分の順位を確認しようとざわつく生徒達──だったが、何故か一瞬にして場が静まり返った。 どうやら生徒達は自分の順位よりも先に目に入ったものに驚愕しているよう。ナルト達四人も目の前に広がった光景に驚きの声を零している。 それもそのはず。 今回の総合試験、栄光の第一位を見事勝ち取ったのは、くの一が王子・うちはサスケではなく── 「アリスが一位・・・?」 そう。一年とちょっと前のある日、いきなりアカデミーに入ってきて初日以外の授業を全て抜け出していた通称“ナルト以上の落ちこぼれ”のアリスその人だったのだ。 「「「・・・ハアァァ───!!?」」」 数秒の沈黙の後、生徒達の絶叫が響く。何でどうしてと不満の声が続出して、その場にいたイルカ達は対処に追われるが当然静まる気配はない。 そして場が騒然となっている中、その原因であるアリスが出てきた。視線が一気に集中する。 「ちょっとアンタ!なんで一位なのよ!」 「授業に出てないお前が一位を取れるわけねーだろ!」 「そうだそうだ!!ロクに勉強してねぇ奴がなんでなんだよ!!」 「っていうかアンタのせいでサスケ君が二位じゃない!」 それらの言葉にアリスはチラリと順位表に目をやると溜め息を零した。自分の順位を見ても何の反応も示さない辺り相変わらず冷めた子だと見ていたイルカが呆れ気味に苦笑いを零す。 「黙りなさい。わたくしが貴様らのような阿呆共に劣るわけがないでしょう。何年もアカデミーに通っているというのに何故あの程度の問題も解けないの。わたくしが勝っているのではなく貴様らが出来損ないというだけではなくて?」 よく通る声で高慢に言い放つ。周りが唖然として静まり返る中帰ろうとするアリスだが、ナルトに呼び止められて振り返った。 「あ・・・あのさ!じゃあアリスってば何点だったんだ!?」 「もっともな質問だな。サスケの成績はアカデミートップだ。恐らく今回の試験も満点に近い。そんな奴を抜くとなると相当高得点を取らなきゃなんねぇだろ」 ナルトとシカマルの言葉に生徒達が再びアリスに意識を向ける。当人は軽く首を傾げると徐に鞄から集計用紙を取り出した。 パラリと開かれた点数表には百、百、百。見事なまでにその数字が並んでいる。 ただの紙っぴれのはずなのに異様な存在感を放っていた。 「う、うっそぉ・・・」 「だから言ったでしょう、ナルト。人の心配をする前に自分の心配をしなさいと」 言葉を失った生徒達を残して、今度こそアリスは帰って行った。 ──色の試験が実技ではなく筆記だったことは、アリスにとってこの上なく幸運だったことだろう。 ─────────────── <補足・サスケとアリスの点数について> アカデミーレベルという事もあって実技は両者満点、筆記で数点ほどアリスが上(凡ミスの数の差)だったと思われる [ back ] |