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『ジュリアン、そろそろ起きたらどうなんだ?』

「……ん…?
なんだ?もう朝か?」

『朝ではない。もう昼に近いぞ。』

「昼だと…?そんな馬鹿な…」

寝ぼけ眼のジュリアンが、テーブルの懐中時計に目を落とした。



「おっ!本当だ!
俺、そんなに寝てたのか…
ま、良いや。
どうせ、行くとこもないんだし…」

『おまえという奴はまったくだらしない男だな。』

「はいはい、どうせ俺は、下品で馬鹿でだらしない男ですよ。」

『やっと自覚が出て来たか。』

「うるせぇ!」

今の今まで、二度寝しようと考えていたジュリアンだったが、エレスの毒舌によって目が冴えてしまったので、仕方なく起きることにした。



「行くとこもないし、何か食べたら昼寝でもするかなぁ…」

『起きて早々考えることが、昼寝のこととは…
そんなに暇なら炭坑で働いたらどうなんだ?』

「やなこった。
あんなもん掘るくらいなら、石を掘りに違う町に移動するさ。
どっちにしろそのつもりなんだから、一日くらいうだうだしたって良いじゃないか。
……さてと、昼飯でも食いに行くか…」

身支度を整えたジュリアンが外へ出ようとすると、ちょうど通りがかった宿の女将がジュリアンを呼び止めた。
なんでも、昨日、ジュリアンを訪ねて若い男がやって来たという。
女将の話す男の風貌から、それはおそらくポールのことだろうと思われた。



「地震のことを心配して来てくれたのかな?
ポールには悪いことしたな…
もう仕事に行ってるとは思うが、念のため行ってみるか。」

ジュリアンはポールの家を訪ねたが、やはり家には誰もいなかった。
ポールは今日から仕事だと言っていた。
きっと朝早くにでかけたのだろうとジュリアンは考えた。
結局、その日、ジュリアンは一人でだらだらと怠惰な一日をすごしたのだった。



「この町にいても仕方ないし、明日発とうかな。」

『そうか、それも良いだろう。
ここでだらだら過ごすよりはその方がマシだな。』

ジュリアンは、次の日、町を離れることを決めた。


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