次の日、ジュリアンはポールとネイサンに案内を頼み、鉱山を訪ねた。



「意外と町から近いんだな!」

「ここは…な。
俺達が働いてる炭坑はもっと奥だから普段はずっとそこに泊まってるんだが、ここからだと十分日帰り出来るぜ。」

「そうだな。
俺はしばらくこのあたりを掘ってみるとするかな。
ここでも以前は石炭を掘ってたんだろ?
炭鉱の跡だと琥珀なんかが出るかもしれないな。」

「琥珀っていうと…昔の木の汁が固まったあれか?」

「酷い言い方だな…まぁ、確かにそんなもんだが…
あれもけっこう綺麗な色してるぜ。
大昔の人は琥珀のことを海に沈んだ太陽が固まったもんだと信じてたらしい。
だから、太陽の石とも言われるんだ。」

「さすがに、ジュリアンは石のことに詳しいんだな。
そういえば、紫の石なんてもんはあるだろうか?
俺のかみさんは紫色が好きなんだが…」

「紫か…そうだな、アメジストあたりならきっとこのあたりにもあると思うぜ。
それに、アメジストは『真実の愛』なんて宝石言葉もあるくらいだから贈り物にするにはぴったりなんじゃないか?」

「真実の愛か…!
そいつは良いな!
ぜひともその石を掘り出したいもんだな!」

「じゃあ、明日から一緒に掘るか?」

「それが、あいにくと俺は明日から仕事でな。」

「なんだ、そんなことなら道具を持ってくれば良かったな。」

「まさか町に着いた次の日からすぐに採掘ってのもどうかと思ってな。
まぁ、良いさ。
今度の休みからでも頑張ってみるよ。
今日は町に戻ってまた飲もうぜ!」

三人は山を降り、町へ戻った。







「ようし!俺も明日からまた頑張って掘るぞ〜!」

「あんたは本当に石が好きなんだな。
俺は、仕事で毎日掘ってばかりいるが、別にそれが好きだからってわけじゃない。
出来る事ならもっと楽な仕事をしたかったと今でも思ってるぜ。
俺が頭が良けりゃあ、もっと割りの良い仕事がいくらでもあったんだろうになぁ…」

「頭の良い奴らには、きっとまた別の悩みがあるんだろうさ。
それがどんな悩みなのか、馬鹿な俺には思いつかねぇけどな。」

三人は酒を酌み交わしながら、どっと笑った。



「ポール、おまえは明日まで休みなんだろ?
ジュリアンに着いて行ったらどうだ?」

「俺はやめとくよ。
月に一度しか家に戻れないんだ。
やることがいっぱい溜まってるしな。」

「よく言うぜ、毎日、ここに来て飲んでる奴はどこのどいつだ?」

「俺にはネイサンみたいに宝石を贈る相手もいないからな。
明日は、一日家でゴロゴロしとくさ!」


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