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「ど、どわっっ!
あ、あんた!一体どこから!?」

ジュリアンの真横にいる男が、いきなり酒を噴き出した。



「き…汚ねぇなぁ…
俺は、さっきからここにいたさ。
あんた、ちょっと飲みすぎたんじゃないか?!」

「え……さっきから??」

男はどうも腑に落ちないといった顔で首をひねりながらも、あらためてグラスの酒を飲み干した。



「そうだな。そう言われれば、ちょっと飲みすぎたかもしれないな。
あんたが突然ここに現れたように錯覚してしまった…
今夜はこのあたりでひきあげることにするよ。
じゃあな…」

男は複雑な表情で店を出て行った。



『どうやら戻ったようだな。』

「そうだな。
どのくらい前に戻ったんだろう?」

『船着き場に行って、東の大陸行きの船の出航日を聞いてみればどのくらい戻ったのかわかるんじゃないのか?』

「おっ!さすがはエレスだ!
早速、行ってみよう!」

ジュリアンは、船着場に走った。
そこで、東の大陸行きの船がいつ出るのか聞いてみると、一週間後ということだった。



「一週間後ってことは…
まだアルドーの絵は完成しちゃいなくて、あの町にいるってことだな。
よし!
今度こそ、なんとかしなきゃな!
まずは町に帰ろう!」

『おいおい、今から帰ったんじゃ真夜中になるぞ。
今夜は泊まって明日の朝発ったらどうだ?
まだ日はあるのだからな。』

「それもそうだな。
今夜はゆっくり休息して、明日から頑張るか…!」







次の日の朝、ジュリアンはライラのいる町を目指して旅立った。
たまたま出くわした荷馬車に乗せてもらえたため、思ったよりも早く、しかも楽に戻ることが出来た。



「ツイてたな。
荷馬車のおかげで早くに着くことが出来た!
早速、ライラの店に行ってみるか!」

町に着いたジュリアンは、まっすぐにライラの店へ向かって駆け出した。



「いらっしゃいませ!」

店の扉を開けたジュリアンを笑顔のライラが出迎えた。



「ライラ!」

「あの…お客さん、どうして私の名前をご存知なんです?
以前、どこかでお会いしたことがありましたか?」

「え……
あ…えっと、その…なんだ。
さっき、この店にはライラっていう可愛い看板娘がいるって聞いてきたんだ。
で、あんたを見た瞬間、そのライラさんなんだなって思って…!」

「まぁ…可愛いだなんて…
私、もうそんな年じゃありませんわ。
がっかりなさったでしょう?」

「そんなことないさ。
噂以上のべっぴんさんだ!」

「いやだわ、お客さん、
からかわないで下さいよ。
そんなことより御注文は何になさいますか?」

「本当に可愛いって!
えっと、注文はなんでもいい!
まかせるから腹にたまるものを頼むよ!」

「かしこまりました。」

ライラはジュリアンに向かってにっこりと微笑んだ。


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