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「今日はここに泊まるぜ。」

何度かの転移を繰り返した後、五人が留まったのはハインツという賑やかな町だった。



「アレク…ここはどのあたりなんだ?」

「ここはだな……」

懐から取り出した地図をテーブルの上に広げ、アレクはある地点を指差した。



「ハインツはここだ。
最初に飛んだセモリュナがここ…」

「じゃあ、あんまり進んでないんだな。
……それで、ラーフィンはどこなんだ?」

「ここだ。」

アレクが指差したのは、ハインツからまだずいぶん離れた西の最果ての海の上だった。



「ここって……何も描いてないじゃないか。」

「ラーフィンは小さな島だからな。
でも、このあたりだろ?」

「……もう少し上だ。」

キーファがぽつりと呟いた。



「それにしても遠いんだな。」

「あぁ、俺もいまだ行ったことないっていうのがわかるだろ?
実はな、俺が行ったことがあるのは…ここまでなんだ。」

アレクが指差したのは、シャイアという町だった。



「ここは、アンタリアの国の首都だ。
昔の友人が結婚した相手がここの出身でな…
それで、行ったことがあるんだ。」

「それじゃあ、この先は…?」

「そりゃあ、もちろん馬車と歩きだ。」

「えーーーーっ!
……そこからラーフィンまでは、一体、どのくらいかかるんだ?」

「せいぜい十日くらいだな、たいしたことない。」

事もなげに話すキーファを、マウリッツは呆れたような顔でみつめた。



「そんな遠くまで行かなくても、ここで十分なんじゃないか?」

「いや、だめだ!
奴らのことを甘く見てたら大変なことになる!」

「そりゃあそうだけど……
でも、アドニアさんには、トレジャーハンターらしき奴らに売って来てほしいって腕輪を渡されたって言うように言ってあるんだろ?
だったら、アドニアさんのこともそれほど深くは調べないだろうし、数日離れてるだけでなんとかなるんじゃないのか?」

「だめだったらだめだ!
この間はなんとかうまく逃げ出せたから良かったようなものの、次だってそううまくいくとは限らないんだからな。
とにかく、ラーフィンが一番だ!」

強い口調で主張するキーファに、マウリッツもそれ以上、何も言えなかった。


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