「ディオ!!」

逞しいマウリッツに抱きしめられ、ダニエルは溢れて来る涙を止めることが出来なかった。







「本当にすまなかったね。
あたしがあんな嘘を吐いたばっかりに、あんた達を酷い目にあわせちまって…」

「いえ、それはディオ…いや、ダニエルを守ろうとしてくれたからですし、それに、ハンターに捕まったのは、俺達のせいですから…」

「確かにその通りだ。
飲み過ぎるなって言ったのに、あんたらがあんなに飲むから、こんな面倒なことになったんだからな。」

にこやかな顔をする者達の中で、キーファだけが浮かない顔をしていた。



「あの…それで、リアナは……」

「あぁ、そのことなんだけどね…」

アドニアとアレクは、リアナがロダンの所で助手として働いていることを話した。



「リアナが魔導士のところで?
なぜです?なぜ、女のリアナがそんな所で…」

「助手とは言ったが、まぁお手伝いのようなものだって言ってた。
こう言っちゃなんだが、あんた達も助かったわけだし、ロダンには金を払って、リアナを返してもらおうと思ってる。
ダニエル…それで良いか?」

「え?は、はい。
お任せします。」

アレクは、ゆっくりと頷いた。



「それじゃあ、アレクさん…俺をリアナの所へ連れて行ってもらえませんか?」

「あぁ、そうだな。
……それじゃあ、早速、行って来るか。」

「一人で大丈夫なのか?
帰りは妹も連れて来るんだろう?」

「あ、そうだな。
じゃあ、あんたも付き合ってくれるか?」

ウォルトがマウリッツの方を見ると、彼は小さく頷いた。



「あぁ、私も一緒に行こう。」

「そうか、それは助かる。」

アドニアはアレクと相談し、皮袋にいっぱいの金貨を詰め、それをアレクに手渡した。



「じゃあ、行って来る。
すぐに戻るから…」

アレクは最初にウォルトを、続いて、キーファを伴って、その場から姿を消した。


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