ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
エミリア10


「……それにしてもすごいね。
あんなに急に気持ちが変わるなんて…」

「若い女の子にとって、顔の悩みっていうのはとても大きなものだ。
周りがどう思ってるかではなく、本人がどう思うかによって、悩みの深さは大きく変わるもののだからな。
しかし……」



「リオーー!
鏡があったわ!」

ラルフの話の途中で、エミリアが大きな声と共に部屋に駆け戻った。



「そうよね。
洗面所にあったのにすっかりド忘れしてたわ。
馬鹿ね…私ったら…」

エミリアの顔に楽しげな笑みが毀れる。



「顔を洗ったら気分がとってもすっきりしたわ。
今日は早めにお店に行こうかしら!?
……あ…でも、皆、私を見たら驚くんじゃないかしら?」

「そうだな、きっと驚くだろうな。
そうそう、リオが魔法を使えることも絶対に言わないでくれよ。
もちろん、俺がしゃべれることもな。」

「ええ…それは約束する!
リオにはとっても感謝してるんだもの。
迷惑をかけるようなことはしないわ。
……でも……どうしたら……」

エミリアは頬杖を着いて俯いた。



「……そうだ、エミリア。
今日はいつもとは全然違う雰囲気で行くんだ。
髪の毛はもっと高い所で束ねてカラフルなリボンで結んだり、髪飾りを着けるのも良いかもしれないぞ。
それに、もっと女の子らしいドレスを着るんだ。
人間ってのはな、着てるものや髪型でその人の印象をものすごく違ったものに感じてしまうんだ。
服装や髪型ががらっと変わったら、君のその瞳が変わってることに気付く者はきっといないさ。」

「そういうものなの…?
ドレスは妹のがたくさんあるけど…でも、私がそんなの着ても似合わ……」

「エミリア!
君は変わったんだぞ。
君はさっき自分で言ってたじゃないか。
私はもう醜い女の子じゃないんだって…
その通りなんだ。
その地味なドレスやその髪型こそが、今の君には似合わないものだ。
……そうだろう?」

エミリアは頬を赤らめてはにかみ、嬉しそうに頷く。



「じゃあ、私、服を取ってくるわ。
店に行く前に合わせてみるから、おかしくないか、見てみてね!」

エミリアは大きく手を振りながら、弾むように家に向かって駆け出した。


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