ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







「ねぇ、アルベルト……
私達、本当に生きてるのかしら?」

「さぁ…私にもよくわからない……」

「そうよね。私達みたいな者がこんなに幸せに暮らしていけるなんておかしいわよね…もしかしたら、私達、死んでしまったのかもしれないわね。」

無邪気に笑うシェリルの笑顔は、あの頃と少しも変わらない。



シェリルは、二日も目を覚まさなかったが、気が付くとそれからは順調に回復して行った。
彼女は、メイドから私が風の祠に向かったここと聞き、屋敷を飛び出して私の後を追ったとのことだった。
彼女のひたむきな愛情に、私はただ抱き締めることしか出来なかった。



「死んでるにしては、なにもかもがとても現実的だけどね。」

私にもなにがどうなっているのか、今でも皆目わからない。
地獄に通じている筈のこの場所は、意外なことに天国だった。
私とシェリルだけの天国だ。



神に背いた私が、こんなに幸せになって良いものなのかと却って心が痛む。



「死んでても生きてても、そんなことどうだって構わない。
あなたと一緒にいられるなら、私、どこだって……」

シェリルの情熱的な言葉に、私はまだ素直には応えられない。
だが、心の奥底では全く同じことを考えている。



「さぁ、今日も忙しくなるぞ!」

私は話をはぐらかす。



「ここに来てから、ずっと作業ばかりね。」

「じゃあ……帰る?」

「もうっ!あなたって、本当に意地悪ね!」

子供のように頬を膨らませ、シェリルは私の腕をつねる。



どこなのか…本当にあるのかどうかもわからないこの世界で、私達は生きていく。

この先にどんなことが待ち受けているのかもわからないが、彼女と一緒ならきっとどんなことだって乗り越えていけるだろう。



「アル!行くわよ!」



元気に駆け出した彼女の姿に、私は小さく微笑んだ。



〜fin


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