ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







(最後の最後まで、私はなんて女々しい男なんだ……)



自分自身の情けなさとふがいなさに、私は溜め息を吐くことしか出来なかった。



周りは高い山に囲まれ、飛び降りれば命を落とすような危険な場所があちらこちらにあって……
私はこの光景をもう三日も見ている。
何もこんな所まで来ずとも、似たような場所は、私の住む町の近くにもあった。
ここに来る途中にも、何ヶ所も同じような場所を見かけた。



(……でも、それじゃあだめだから、わざわざこんな所まで来たんじゃないか……)



そうだ…何ヶ月もかかって、いくつもの町を通り過ぎ、やっとここまで辿り着いたんだ。
しかも、私の終着点はすぐ側だ。
なのに、こんな所で躊躇してしまうなんて……



進めばほんの数時間で着くだろうその場所……
ここから、その入口も見えているというのに、私の足はそこへ向かうのを拒み、もう三日もここに居座っている……





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