ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
剣の意味・1






「なんだって!?
ブラッド!貴様……正気なのか!?」

俺は、頭に血が上り、気がつくと奴の胸倉を掴んでいた。



「落ち着け、リチャード。
きっと、ブラッドにもなんらかの理由があるはずだ。
……そうだろう?」

いつも冷静なウェイドが、俺とブラッドの距離をそっと離した。



「さすがはウェイドだ。
リッチみたいな単細胞とは違うよな。」

ブラッドは、俺を小馬鹿にしたような瞳でみつめる。



そうだ…彼が、この町にやって来た時の…あの時と同じ目だ。
最近ではあまり思い出すこともなかったあの当時の……



「で、ブラッド…どういう事情があるんだい?」

「……金に決まってるだろ。」

「金……?」

ブラッドは、少しも悪びれることなく頷いた。



憤る気持ちと、彼を責められないと思う気持ちがせめぎあい、俺は何といえば良いのかわからず、ただ唇を噛み締めた。



「それだけじゃないぜ。
あっちは、実力が全てだ!
手柄さえあげれば階級を上げてくれる。
そうなれば、またもらえる金が上がるんだ。」

「ブラッド…!」

「なんだ、リッチ……
なにか文句でもあるってのか!?」

まただ…
俺を見下したようなあの視線…!



「畜生!」

思わず殴りかかった俺の拳を、ブラッドはやすやすと受け止め、俺の身体を突き飛ばした。
バランスを崩して無様に転がった俺を、ブラッドの冷やかな視線が突き刺す。



「じゃあな。
あ、戦場で俺をみかけたら、すぐに逃げろよ。
俺は、昔の仲間だからって容赦はしないからな!」



救いようのない捨て台詞を残して、ブラッドは部屋を出て行った。


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