ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ


「そ、そうだ!
良いことを思い着いた!
僕達は、今、人間のふりをしている。
だから、もしも、お主がそこにいる天使とコンタクトを取る事が出来なかったら、僕達が人間のふりをしてお主のことを頼んでやろう!
どうだ、それなら良いだろう?」

カルフは突如頭に浮かんだ都合の良い思いつきに、ほっと胸を撫で下ろした。



「だったらさ、クラウドに祈ってもらったら良いんじゃないの?
あいつは祈るのが本業だし、ヴェリエルのことも見えたくらいだから、祈りも通じやすいんじゃないの!?」

「そうですね!
なんで気付かなかったんだろう。
最初からクラウドさんに頼めば良かったんだ。
クラウドさんは僕の姿も見えたくらいだし、もしかしたらそこに来てる天使とも直接話せるかもしれませんね!」

ヴェリエルは、アルルの提案に目を輝かせて手を打った。



「そうだ、その通りだぞよ。
クラウドにまかせておけば大丈夫だぞよ〜!」

せっかく思い付いたアイディアが、アルルによって色褪せてしまったことは少し残念に思いつつも、とにかくうまく話がまとまってカルフは安堵した。
ちょうどそこへ救急箱を持って部屋に戻って来たクラウドは、カルフの手当てもそこそこに早速今決まったばかりの話をもちかけられた。



「わかりました。
そんなことならお安い御用です。
ヴェリエル様のお役に立てるなんて光栄です。」

「ありがとう、クラウドさん!」

「僕達のことはくれぐれも内密にお願いしますよ。」

額に大きな絆創膏を貼り付けられたカルフが、クラウドに念を押した。



「わかっております。
ヴェリエル様の前ではつい口を滑らせてしまいましたが、二度と同じ過ちは冒しません!
どうぞ、ご安心下さい。」



クラウドは救急箱を返しに行くついでに、遺跡の場所を詳しく聞き込んだ。
遺跡までは馬車ならすぐだとのことだったが、路銀のことやヴェリエルのことを考え、徒歩で向かうことになった。
ただ、宿の主人の話によれば、願いを叶えるというのは昔の伝説に過ぎず、遺跡とはいってもこれといって見る物もないつまらない場所で、学者でさえも近頃では調査に来ないということだった。
その話に一抹の不安を感じながらも、一応訪ねてみることに決まった。


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