ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ



「それで…そこへ行って天界へ帰れるように祈りたいとでも言うのか?」

「違いますよ!
そういう場所にはたいてい俺達みたいな下っ端の天使がいて、人々の願いを上の天使様にお伝えしてるじゃないですか。
だから、そこで誰かと連絡を取れたらと、そう思ったのですが…ただ…」

ヴェリエルはそこで言葉を濁し、悲しげにそっと俯いた。



「……ただ、どうしたんだ?」

「最近の俺はどんどん天使としての力が落ちてきています。」

「そういえば、あんたの姿は人間には見えないはずなのに、このごろ、子供達にはあんたの姿がなんとなく見えてるみたいだよね。」

「……そうなんです。
本来、純粋な心を持った子供達にはごく稀に見えることもありましたが、最近はその頻度がすごく高くなってる気がします。
それに、ちょっと前までは壁を通り抜けることも出来たのに、最近はそれも出来辛くなってますし、飛ぶのもどんどん高度が落ちてきています。
だから、その場にいっても、こんな俺にそこの天使とコンタクト出来るかどうかが心配で…
ですから、どうかお二人に天使とコンタクトをつけていただきたいんです!」

「そ…それはだな…」

カルフは内心焦っていた。
ヴェリエルは、カルフとアルルがエリート天使だなどという嘘を信じたが、他の天使がそうたやすく信じる筈がない。



(…どうしよう?!
そこにいる天使もこいつみたいにあほならなんとかなるけど、まともな天使だったら僕達がエリート天使じゃないことがバレてしまう。)

(はぁ?それがどうしたってんだよ。
こいつがいたって特に何のメリットもないんだ。
厄介払いが出来て助かるじゃないか。)

(そんな呑気なこと言って…
天使だなんて嘘吐いたんだし、天罰とか受けないだろうか?)

(そう言ったのはあんたじゃないか。
私は知ったこっちゃないね!)

(お…おまえなぁ〜〜〜…)



「カイン様、どうかなされたのですか?」

「……カルフ…だ。
な、なんでもない。」

「では、遺跡に行って下さるのですね!」

「い、行くのは構わんが、僕達は人間としてこの地に赴いている。
なんせ極秘任務だから、僕達としても本当のことは言えないのだぞよ。
クラウドがつい口を滑らせてしまったから、お主には僕達の正体がバレてしまったが、本当は誰にも打ち開けてはいけないのだ。」

「なんせ、極秘任務だからね。」

アルルは俯いて懸命に笑いを噛み殺す。


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