ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ



僕はいつも通りのふりをして、夜中にこっそりミッシェル達を探す事を決意した。
他人の家の中をあれこれ詮索するのも申し訳ないと思い、今まで僕は用事のある場所しか見ていない。
もしかしたら、隠し部屋や地下室があるかもしれないし、ドナルドだけではなくもっと他の人物も囚われているかもしれない。
しかし、みつけたとしてもすぐには救出出来ない。
この霧では外へ出ることは出来ないのだから、救出は霧が晴れてからだ。
それまでに何か救出するのに必要な道具を探しておこう。
あの男がなぜそんなことをするのかはわからないが、とにかく、僕の考えを悟られないようにしなくては…



そんなことを考えながら僕は部屋で時間を潰し、昼頃になると、いつものように食堂へ向かった。
そこには、中年の見知らぬ男性が座っていた。



「ブラッドさん、こちらはクリフさんです。
つい先程、ここに来られたんですよ。」

男は、にこやかな表情でそう話した。
僕が来て、ほぼ毎日迷い人がここに来ている。
外はあんなに深い霧なのだから、迷うのは仕方がないかもしれないが、それにしてもこんなに毎日というのはどこか不自然な気がする。



「……どうも。」

クリフは、顔もを伏せたまま、元気のない声でそう一言呟いた。



「あ…あぁ、こちらこそ。
あの、僕、ブラッドって言います。
僕も迷ってしまってここでお世話に…」

僕が話していることにも構わず、クリフは昼食を採り始めた。
痩せて顔色も良くないが、食欲はあるようだ。



(もしかしたら、この男もいなくなるのだろうか…?)



ふと、そんなことを考えた時に、僕は新たな疑問にぶち当たった。



(そうだ……
だったらなぜ僕は連れ去られないんだ?
なぜ、僕だけが…)



僕の頭の中は、次々と浮かび上がる疑問のために混乱するばかりだった。


- 266 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

お礼企画トップ 章トップ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -