ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







次の日、町のはずれで五人は光り輝く門を見上げていた。
それは外の世界に通じるとされる門。
その門をくぐって外に行った者がどうなるのかは、どの書物にも記されてはいなかった。
今までにそこをくぐった者がいるのかどうかさえも、誰も知らない。
門の話は、この世界では禁忌とされているのだ。
もちろん、近寄る者さえもいない。



「皆、決心は変わらないんだな?」

アストの厳しい声に、他の四人は、皆、無言で頷いた。



「じゃあ、行こうか。
まずは私が入る。
もし、異変を感じたら引き返すんだ。
わかったな?」

「そんな…兄貴!」

アストの姿は、門をくぐったと同時に消え失せた。



「き…消えた!
きっと外の世界に飛んでったんだ!
じゃあ、次は俺様だ!」

マリクの姿もアストと同じように消え去った。



「じゃあ、次は…」

アルフがノエルに声をかけようとした、まさにその時だった。



「ちょっと、あんた達、そこで何やってんのよ!」

それは、ルミスの声だった。



「やばい!皆、急ぐぞ!」

「わっっ!」

アルフは、シエルを門の中に突き飛ばすと、ノエルの手を引いて一緒に門をくぐった。



「あ、あんた達、な、な、なんてことを!」

誰もいなくなった門の前でマリクは呆然と立ち尽くす。
そして、次の瞬間、マリクは目をつぶり、門をくぐった……








「うわぁ!いってーーー…」

突然現れたルミスを、五人は呆れた顔でみつめた。



「あ〜あ、着いて来やがったか…」

「俺様の勝ちだな!」

がっくりとうな垂れるアルフに反して、マリクは誇らしげに胸を張った。



「何のこと?
それよりここはどこ?」

ルミスはきょろきょろとあたりを見渡した。
だが、そこには先程の輝く門もなければ、ただ荒れた土地が延々と広がっているだけで、その場所を特定するものは何一つ見当たらなかった。



「……ここは、外の世界……」

ノエルは小さな声で呟く…



「僕の生きる意味を教えてくれる場所さ…」

ノエルはそう言って、アルフに微笑みかけた。
アルフは同じように微笑み返すとゆっくりと頷き、彼の髪の毛を優しく撫でた。


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