ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







「ねぇ、どう?おいしい?」

ルミスは、心配そうにノエルの顔をじっとのぞきこむ。



「うん。」

「……ノエル、もうちょっとなにか言いようはないの?
これなんて手間かけて三日も煮込んだのに、『うん』だけじゃ、張り合いがないよ〜…」

「ルミス、こいつの顔を良く見ろよ。
けっこう嬉しそうな顔してるじゃないか。
それは、おまえの新作料理が気に入ったってことだ。
な、ノエル?」

ノエルはアルフの言葉に黙って頷いた。



「なら良いんだけど…
食事が終わったら、デザートも待ってるからね!
ノエル、今日のデザートはあんたの大好きなチョコレートケーキだよ。」

「ありがとう、ルミス。」

次から次に差し出されるルミスの新作料理を、アルフとノエルは黙々と口に運ぶ。
その度に、ルミスに感想を聞かれ、口数の少ないノエルをかばうようにアルフは精一杯の誉め言葉を並べ立てた。



「こいつはとびきり美味いな!
見た目も華やかで食欲をそそられるよ。
やっぱり、ルミスは料理の天才だな!
な、ノエル?」

ノエルは、アルフの言葉に毎回黙って頷く。
それは、ルミスの新作料理会の常だった。
新作料理会に呼ばれるのは決まってこの二人で、その裏にはちょっとした事情があった。
ノエルは元々塞ぎこむことが多いが、その中でも時にその深度が深くなる時期がある。
それを気遣った二人は、新作料理会という名目でノエルを励ましていたのだった。
ここメルヴェイユには娯楽らしい娯楽がない。
この世界に存在するのは、美しい自然の風景だけなのだ。
自然は、人の心を癒すと言われるが、そんな環境に慣れきったノエルには効果があるようには感じられない。
何か、ノエルを元気付けるものはないものかと二人が話し合っていた時、「食欲が満たされれば気力は回復する」ルミスがそんな事を言い出し、それで始めた新作料理会だったのだが、元気になるのは当のノエルではなくいつもアルフとルミスの方だった。


- 6 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

お礼企画トップ 章トップ

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -