それから一週間程が経った日のことだった。



「王様!テレビを…!
アンジェリーヌ様のお子様がお産まれになったそうです。
アンジェリーヌ様にそっくりな王子様でございますぞ!」



テレビには産まれたばかりの赤ん坊を抱くアンジェリーヌとそれに寄りそうカパエルの姿が映し出されていた。



「まるで天使のような赤ん坊でございますな。」

「ハイビジョンのアップで見てもこの美しさ……」

「絵に描いたような美しい家族だわ!」



(ち、畜生……!!)

ミカエルの夢ははかなくも破れ去った……




(く…くっそー!カパエルの奴…本当に運の良いやつだ!
しかし、アンジェリーヌはますます綺麗になってるじゃないか!
しかも、あの胸…!子供を産んだせいか、前よりもデカくなってやがる!
ちくしょーーー!カパエルの奴、あの胸を毎晩…うーーーー!許せねぇ!!)



「そういえば、カパエル様がこの国を経たれてからもう一年近く経つのですな。」

「早いものね……」

「そうだ!」

突然大きな声を上げたミカエルに、皆の視線が集まった。




「どうしたの?ミカエル」

「俺、フィンラの国に行って来るよ!
カパエル達に祝いをしたいからな!」

「それは良い考えだな!
きっとカパエルも喜んでくれるぞ!」

「じゃあ、早速、明日にでも発つよ!」

「明日って……そんな急に……」

「ラビッツに送ってもらえばすぐだしな。」

「いくらなんでもまだ産まれて間もない赤ん坊にラビッツの俊足は無理だろう。
……というより、いくらラビッツでも、あの重いオニガワラさんを乗せては走れんのじゃないか?」

シーサーを産んでからというもの、ガーラの体重は元には戻らず、なお一層バージョンアップしていた。



「何言ってるんだよ。
俺は一人で……」

「……一人で、なんですって…?」

「ぎゃああああああああーーーーー!
……なんだ、ガーラか…
いつも言ってるだろう!
急に顔を見せるなって!」

「どういうことよ!
ミカエル!あんた、一人でフィンラに行って、久しぶりに羽を伸ばそうと思ってるんじゃないでしょうね!」

「だ、だ、だれが、そ、そ、そ、そんなことを…!」

「じゃあ、私やシーサーも連れていくのね。」

「あ、あ、あ、あたりまえじゃないか…俺達はいつも一緒だ。はははははは…」



ミカエルは思いっきり引きつった不自然な顔で笑う。



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