「わぁ!!すご〜い!!」

「……こんなにもたくさん……!」

頼んであった衣類が届き、ジネットとサリーは大はしゃぎだ。

明日は、ついにフレデリックとローラの新居へ向かう。

新居へは、馬車で向かうことになっていたが、少し遠いので途中でレヴの別荘に一泊して行くとのことだった。



「あたしさぁ、実は馬車もまだ乗ったことないんだよ〜!
楽しみだなぁ…」

三人は、ここでの生活を心から楽しんでいるようにレヴには思えた。



(……私は、今まで恵まれた生活をしていたのだな…)

金があっても特にほしいものはなかった。
家が広いとも感じていなかった。
旅に出るまでは、レヴはこのような生活に不満はなかったものの、感謝もなければ、幸せだと感じたこともなかった。
むしろ、退屈だと感じていた位だったのだ。

今までのレヴの友人達は、贈り物をしても家に招いても、こんなに驚いたり喜んでくれることもなかった。
レヴ自身、どこかへ招かれても特に新鮮な感情を抱くことはなかった。

なぜなら、彼等もまたレヴと似た環境の者達だったから…

自分の知らない世界へ出向き、今まで関わることのなかった人々との出会いが自分を一回り大きな人間に成長させてくれたことにレヴは感謝の念を抱いていた。







その夜、ヴェールとサリーはレヴの部屋を訪ねていた。



「……そうだったのですか…」

なかなか機会がなくて、ジネットの見ていた写真のことをまだヴェールにはまだ伝えてなかったのだ。



「でも、そうなると、ますますわからなくなってきましたね。
なぜ、ジネットさんがあんなにも執拗に暗き森に行きたがったかということが…」

「そういうこと。
本当に何も手掛りなしさ!」

「あれ以来、ジネットさんに変わった所は?」

「なさそうだね。
まぁ、最近はダンスのレッスン以外は、別行動のことが多いし部屋も違うから、よくわからないんだけどさ。」

「それなら、大丈夫だ。
大事な客人だから…ということで、彼女からは片時も離れないようにメイドに言いつけてある。」


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