「さっきはどうなることかとひやひやしましたよ。」

「何のことだ?」

「サリーさんですよ。
ちょっと酔っぱらっていたようですね。」

「サリーがどうかしたか?」

「どうって…ご両親にいろいろ言ってたじゃないですか。
私は本当に心臓が縮まる想いでしたよ。」

「あぁ、そのことか。
それなら大丈夫だ。
うちの両親はあまりそういうことは気にしないのだ。
それどころか、とても面白がって楽しんでいたようだ。」

「そうなんですか…」

「ここでは何も気にすることはない。
自分の家だと思って、好きなように過ごしてくれ。」



それからの数日間、彼等はレヴの屋敷で優雅な日々を過ごした。
ヴェールは書庫に入り浸り、レヴに薦められた本を一心に読みふけった。
ジネットは、レヴ家の手入れの行き届いた花園や庭がたいそう気に入った様子で、毎日出かけては庭師と花の話を語り合っていた。
サリーはというと、酒蔵の酒を全部味見してやる!と、はりきっていたが、一口づつ飲んだとしても数日で飲みきれる量ではなかった。
レヴは久しぶりの我が家での毎日をのんびりと過ごしていた。
乗馬をしたり、時にはヴェールと一緒に本を読みふけったり、そして描き掛けだった絵を描いてみたり…

誰にとっても、とても心癒される日々だった。


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