「…ところで、以前、君に本を読むようにすすめたことがあっただろう?
覚えているか?」

「ええ…」

「うちにはたくさんの本があるから、いろいろと読んでみると良い。」

「ありがとうございます。
楽しみにしてます。」

そこから二人は本の話題で盛り上がり、また夜更かしをする羽目になってしまった。







次の日の朝がやって来た。

「なんだい、あんた達、眠そうな顔して!
また夜更かししてたんだね。」

「本当に、レヴさんとヴェールさんは仲の良いご兄弟ですわね。
ご両親もお二人が戻られたら、さぞお喜びになることでしょうね!」

その言葉を聞いて、レヴはあることを思い出した。



「…あ…ジネットさん…
以前、少しお話したと思いますが、私達は理由ありの兄弟でして…
これから向かうのは私の家なのです。
それで…両親には、ヴェールとサリーのことをまずは友人だということにしておきたいのですが…」

「…え…
レヴさんのご両親は、ヴェールさん達のことをご存じないのですか…?」

ジネットの驚きも当然のことだ。



「…い…いえ、そうではなくて…
…幼い頃から会ってないので顔を見てもわからないと思うのです。
いずれは話すつもりですが、急に話して驚かせたくはないですし、余計な気遣いをさせないためにも、とりあえずは友人ということに…」

「……そうですか。
わかりました…」

ジネットはそう答えはしたものの、心の中では釈然としない気持ちだった。



(…一体、どういう関係のご兄弟なのかしら?
ヴェールさんやサリーさんは、レヴさんのお父様が外に作られたお子さんってこと?
だから、レヴさんはお母様に気を遣われているのかしら?
……いけないわ。
こんな推測をするのは…)

はっきりと真実を聞きたい気持ちもあるにはあったのだが、立ち入るべき問題ではないと感じ、ジネットはそれ以上は考えないことにした。




やがて、三人は暗き森の近くにやってきた。
少し遅くなった昼食を採るためにカフェに入り、オーダーを取りに来たウェイターに向かって、レヴはわざとこのあたりの地理について質問した。


- 26 -
しおりを挟む


[*前] | [次#]
ページ:



戻る







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -