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「ヴェール、思い出してみなよ!
レヴが勝手に旅に出て長い間放っといたから、婚約者のローラは別の人と結婚しちゃったんだよ。」

「あれはだな……」

「だから、コミュニケーションはとっても大事だってことさ。」

「なるほど…わかりました。
言われてみればそうかもしれないですね。
では、勉強が終わったら知らせて下さいね。」

ヴェールは素直に部屋を出ていった。



「おい、サリー、まさか、これは…」

「当ったりぃ!
こうやってあたしが二人の距離を縮めてやんなきゃね…」

「全く、君って奴は…
それにさっきの例はなんだ。
別に私とローラは…」

「はいはい、わかってる、わかってますよ。
でも、まぁ良いじゃないか。
あれでヴェールも納得したんだからさ!」

「……… ……それはそうと、せっかくの機会だ。
本当に勉強したらどうだ?
いつだったか、君が書いていた文章はスペルが間違いだらけだったぞ。」

「やだよ。あたしは昔から勉強を始めると頭が痛くなるんだから。」

「毎晩、勉強していると言っておきながら、何の進歩もないんじゃ怪しまれるぞ。
少しずつで良いから勉強していこう。さぁ、ペンを持って…」

「えええ〜〜〜っ!」







「遅い時間にすみません、ジネットさん、ヴェールです。」

「まぁ、ヴェールさん、どうされたんですか?」

「サリーさんがレヴさんに勉強を教わるとかで、邪魔だと追い出されてしまいました。」

「まぁ、そうだったんですか。…どうぞ。」

「あ、ジネットさん、もう寝間着だったんですね。
やはり私は…」

「大丈夫です。」

ジネットは慌ててガウンを羽織った。



「お茶でも煎れますね。」

二人っきりだと照れくさくなかなか言葉が出て来ない…
気を遣ったジネットがやっと口を開いた。



「あ…あの…サリーさん、一体どうされたんでしょうね?
お二人の姿を見て、ご自分もお勉強される気になられたんでしょうか?」

「そうかもしれませんね。
サリーさんはなにか思いつかれたらすぐに行動に移される方ですから…」

「最近は伝承の研究はいかがですか?」

「それが、なかなか進まない状態なのです。
探している情報がみつからないもので…」

「そうなんですか…大変なんですね…」

「ええ……」

その言葉を最後に、また部屋の中には沈黙が流れた…



「……遅いですね。まだ勉強されてるんでしょうか。
ちょっと見てきます。」

気まずさにいたたまれなくなったヴェールは部屋を出て行った。



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