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「レヴ…ここでもまた何もみつからなかったね…」

「そうだな。
何もないということは本来ならば喜ばしいことなのだが…こう、何もないのも困ったものだな。」

「何もないといえば、ヴェールとジネットもあれ以来、全く進展なしだね。」

「そのようだな…」

「昨夜、ジネットにヴェールとはもうキス位したのかって聞いたら耳まで真っ赤になっちゃってさ。
泣きそうな顔で否定してたよ。」

サリーはそう言って、おかしそうに笑う。



「サリー…あんまりからかうもんじゃないぞ。」

「からかってるんじゃないさ。
あたしは心配してるんだよ!
ここは、あたしがなんとかしてやんなきゃねぇ…」

「二人とも大人なのだから、放っておけば良いのだ。
おかしなことはするな。」

「ああいう奴らは、あたしみたいなのが手伝ってやんなきゃダメなのっっ!
ジネットは半年しか一緒にいられないんだから、その間にもう少しくらい仲良くなってもらわなきゃ!」



その晩遅くのことだった。
ヴェールとレヴの部屋にサリーが突然やって来たのだ。

「どうしたのだ、サリー?こんな時間に…」

「あたしさ、ちょっと心を入れ換えていろんなことを勉強することに決めたんだ!
レヴ、今夜からあたしに勉強を教えておくれよ。」

「君が勉強を?
珍しいこともあるもんだな。
明日は雨…いや、雪が降るんじゃないか?」

「うるさいっ!
せっかく、真面目に勉強しようと思ったのに…」

サリーは子供のように頬を膨らませる。



「そうか、それはすまなかった。
なかなか良い心がけだな。
では、何から始めようか…」

「その前に、ヴェール…
悪いんだけど出ていってくれるかい?」

「え?なぜです?」

「あんたがいたら勉強に集中出来ないんだよ。」

「しかし、こんな遅くに一体どこへ…」

「ジネットとおしゃべりでもしてなよ。」

「そんな…こんな遅い時間にお部屋にいくなんてご迷惑ではありませんか…」

「馬鹿いってんじゃないよ!
あんたら、将来結婚すんだろ?
そんなによそよそしくしてたら、ジネットに心変わりされちゃうよ。
女の気持ちは変わりやすいんだから、コミュニケーションは大切だよ。」

「そうなんですか、レヴさん?」

ヴェールは心配そうな顔でレヴに訊ねた。



「まぁ、確かに女性の心は移ろいやすいものではあるな。
かまってもらえないと感じると特にそういうことはあるかもしれない。」

「…そうなんですか……」


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