「レヴさん、ディサさんに魔石のことを口止めしておきました。」

「そうか…なら、安心だな。」

「それと……」

「どうしたのだ?」

ヴェールは、俯きながら言いにくそうに話し始めた。



「……まだ早いかと思ったんですが、私の気持ちをディサさんにも伝えました。」

「気持ち…?
ジネットさんに対する想いをか…?」

「ええ、そうです。
すべてが解決し、ここに帰ってきた時には、ジネットさんと結婚したいということを…」

「何?もう、そんなことまで言ったのか…!?
ディサさんはさぞ驚かれただろう…」

「…そうかもしれませんね。
ちょっと早すぎたでしょうか…?」

「いや…別に構わないと思うが…
ただ、君がそんなに気が早いとは思っていなかったのでな…」

ヴェールは、レヴの言葉に顔を赤らめた。



「そうですよね…
恥ずかしいです。
経験のないことですから、舞い上がっていたのかもしれません。
これからはもう少し考えて行動します。」

「いや、そんなことは心配無用だ。
サリーが聞いたら喜ぶぞ。
サリーは、君とジネットが結ばれることを心待ちにしているようだからな。」

「……考えてみれば、ここまで急速に進んだのもサリーさんのあの一言があったからですね。」

「それもそうだな。
さしずめ、サリーは恋のキューピッドという所か…
キューピッドという柄ではないがな…」

「また、そんなことを…
サリーさんには感謝してるんですよ。」

ヴェールの心遣いに、レヴは微笑む。



「……ヴェール…このまま、ジネットさんとここに残るという選択肢もあるのだぞ。」

「レヴさん…私が魔石のことを放っておいてここでのんびりと暮らしていけるとお思いですか?」

「もし、君がリーズのことを気遣ってくれているのなら…」

「レヴさん!
魔石のことは、リーズさんのこと以前に私が解決することを決断していたのです。
リーズさんのことがあろうがなかろうが、私は魔石を探す旅をやめるわけにはいかない…
ジネットさんが私に護り石を届けることを使命だと感じていたように、魔石のことを解決するのが私の使命なのです…」

「……そうか……わかった…」

やはり、ヴェールの気持ちはジネットのことがあっても揺らがないのだと、レヴは確信した。



(二人のためにも…そしてリーズのためにも、魔石を早くみつけなければ…!)

レヴもまた決意を新たにしたのだった。


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