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それから数日後、四人はシャルロの住む町を目指して旅立った。
ヴェールの正確な道案内のおかげで、思ったよりもずっと早く彼の住む町に着く事が出来た。
「シャルロさんの所には、また私一人で行ってこよう。
その間、ジネットさんのことは頼んだぞ。」
「わかってるよ。
また海にでも行って時間を潰しておくよ。」
ジネットには、また以前と同じように、レヴは伝承研究のことで話を聞きに行ったということにしておいた。
「あの…」
「なんだい?」
「以前、町で小耳に挟んだんですが…
レヴさんが会いに行かれたシャルロさんは、もしかしたら『預言者』と呼ばれてませんか?
なんでも、不思議な力を持ってらっしゃるとか…」
「ああ、そういえばそうらしいね。
レヴは、そんなことは全く信じてないみたいだけどさ。」
「私もそういったものはあまり信じられませんね。
人の未来がわかるなんて、馬鹿馬鹿しい…」
「そ…そうですよね、私も町の噂でちょっと聞いただけですから…」
ジネットは、二人に話を合わせて無理に微笑んだ。
「ジネット、あんた、シャルロにみてもらいたいと考えてるのかい?」
「いえ…そんなことは…」
(良かった…やっぱりレヴさん達はそんなことは信じてらっしゃらないんだわ…
なら、私の話が出ることもきっとないわね。)
*
レヴはシャルロの店を訪れた。
店にはまた何人もの客がシャルロの預言を求めて来ていたが、レヴの姿を見るなり、シャルロは早々と店じまいにしてしまった。
客達はぶつくさと文句を言いながら帰っていく。
「やっぱり来たか!」
「おひさしぶりです、シャルロさん。
やっぱり…というと、もしかして、私が来るのがわかっていたのですか?」
「あぁ…ここんとこ、あんたの夢を見たから、なんとなくそんな予感がしてたんだ。
また困り事だな?
さ、とにかく中へ入んな。」
レヴを店の奥の部屋へ通し、シャルロはテーブル越しにレヴの顔をじっと見つめる。
「……いろいろあったようだな…」
「わかりますか…?」
「あぁ、いろんなヴィジョンが頭に入って来るよ。
そうか、森の民には会えたんだな…
そして、あのアマゾナイトは森の民が命を賭けて処理してくれたんだな…
それから…あんたのことをものすごく想ってる女性が見える…
その人も魔石に関わりがあるな。
今、その人は身体と心が分離した状態だ…
そして…また大きな危険だ…
なんだかはっきりしねぇが、緑と赤が重なってるのが見える…」
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