発車のベルが鳴り響く中、僕は未練たらしく扉の外に身を乗り出して、彼女の姿を探した。
けれど、そこにはただ雨が打ち付けるだけ…
彼女の姿は見つからず、無情なベルは鳴りやんで、スーッと音もなく扉が閉じられた。
ゆっくりと列車は駅を離れる…



さようなら、歩実…
きっと、君は懸命な選択をしたんだ…



そう、これで良かったんだ……


彼女に辛い思いをさせずに済んで良かった…


そんな気持ちは、僕の精一杯の見栄だったのかもしれない。

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