しばらく私は故郷に留まることにした。


誰もいない丘に座って、耳を澄ませると、やさしい風の音がした。



忘れてた…
この懐かしい音のこと…
都会の風はここのとは全然違う。



この風を忘れてたから、妹のことも忘れてたんだ、きっと。
あの世に行かなくても、いつも私の傍には私のことを想ってくれてる人がいるのに、そんなことにも気付かないで…



「ごめんね、風子…それにありがとう。
すいぶん飛んでったよ、心の中の邪魔なもの…」



空に向かってそう話したら、穏やかな風が私の傍をさーっと吹き抜けた。



〜fin.



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