空は青く高い。
雪はまだ所々に残ってはいるけれど、芽吹き始めた木々を見ていると、そろそろ春なんだなって思わせられる。



私も人生の春を迎えるはずだった。
そうなるものと信じ切っていた。
だから、こんなに傷付いた。



結婚詐欺なんて、ニュースやワイドショーでの話だと思ってた。
だけど、気が付けば、信じ切っていた彼は姿を消し、私がコツコツ貯めて来た貯金はすっかりなくなって……



そんなことになっても、私はなかなか現実を受け入れられなかった。
ようやく、自分の状況が飲みこめたら、生きていく希望がすっかり消え失せていることに気が付いた。



私は着の身着のままで列車に飛び乗り、ずっと離れていた田舎町に降り立っていた。




- 39 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

戻る 章トップ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -