7
***
『のぅ…神様や。
桃太郎はこれで良かったのかのう…?』
『良かったのかとは、どういうことだ?
あいつになにか問題でもあるというのか?』
普通の神様は問題ばかりではないかと思いましたが、曖昧に笑ってすませました。
そして、その時、はたと気付いたのです。
(そういえば、今の桃太郎はとても輝いておる…
あのイスや生地も生き生きとしておる…
そうか!…おとぼけ神様はわしにそのことを伝えたかったのだな。
どんなことであれ、ひたむきに頑張るということこそが人生を楽しむ術だと、生きる意味だいうことを…!)
普通の神様は、込みあげる感動に熱い涙をこぼしました。
「神様や、今日は良い勉強をさせてもらったよ。
本当にありがとう。」
「いやいや、なんのなんの。
またいつでも来られよ。」
おとぼけなことをして見せる裏側には実は深い意味があったのだと大きな勘違いをしながら、普通の神様は家に戻っていきました。
めでたしめでたし。
- 277 -
しおりを挟む
コメントする(0)
[*前] | [次#]
トップ 章トップ