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「和彦さん……他に方法はないんでしょうか?」

「そうだな……」

兄さんは、何かを考えるように少しの間俯いて、そして、またゆっくりと口を開いた。



「美幸……本当の気持ちを教えてくれ。
シュウとは別れたくないか?
それで、両親と疎遠になることになっても、シュウとは別れたくないか?」

「そ、それはもちろん……」

「ひかり…そんなことすぐに答えられることじゃないだろ?
しばらく真剣に考えた方が良い。
ご両親と会えなくなるってことは、ご両親を裏切る事にもなるんだぞ。
おまえを産んで今まで大切に育ててくれたご両親を捨てるってことになるんだぞ。」

私の言葉を遮るようにして重なったシュウの言葉。
そんなこと、言われなくてもわかってる……
わかってるけど、あらためて聞かされたら、それはやっぱり大変なことで……
胸も痛むし、怖くもあった。
出来る事なら私だってそんなことはしたくない。
でも……シュウの事実を話した所で、絶対に信じてもらえないことは火を見るよりも明らかだから。
シュウを守るにはその方法しかないんだとしたら……辛くても割りきるしかない。



「兄さん…私はシュウと一緒にいるよ。
たとえ、母さん達ともう二度と会えなくなったとしても…
私はシュウと一緒に行く。」

「ひかり!こんな大切なこと、すぐに答えを出すなって言ってるだろ!」

シュウの顔が急に険しいものに変わり、その声も感情的なものに変わった。



「シュウ!私、いいかげんに言ってるんじゃない!
どれだけ考えても今答えても、答えは同じ。
……私は、シュウと一緒に行くよ。
どんなことがあったって…私は……」

「……それは責任を感じてるからだろ?
俺をこっちに呼び出してしまったっていう…引け目みたいなもんがあるからなんだろ?
そんなのやめてくれよ!
俺…同情なんかされたくないし……俺のことで、ひかりを不幸にしたくないんだ…」

そう言ったシュウの顔はとても辛そうで…寂しそうで……
私は胸が締めつけられる想いだった。
シュウをこんな目に遭わせたのは私……
私があんないいかげんなことを願ったせい……
シュウにはとても申し訳ないことをしたと思ってる…でも……

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