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「爺さん、教えてくれてありがとうよ。
セリナ達を止めなくちゃ…!
セリナーーー!」
セリナの名を呼びながら走り出したラスターに、フレイザーとダルシャも続いた。
セリナとエリオットは、道の真ん中で振り返り立ち止まる。
「遅いわよ、みんな!」
にっこり微笑むセリナに、神妙な面持ちのラスターが口を開いた。
「セリナ…この道はダメだ。」
「ダメって…願い石はこの先にあるのよ。」
「でも、ダメなんだ。
この先の山には獣人たちの村があるらしいんだ。」
「獣人?!」
エリオットとセリナが同時に声を上げた。
エリオットは、ゲームやアニメの中でしか知らなかった獣人に会えるということでの感嘆の声だったが、セリナはそうではないことはその表情からはっきりとわかった。
「どうしよう、セリナ…」
「困ったわね…」
ラスター達は、腕を組み道の真ん中で立ち止まり黙りこんでしまった。
「……あのさ、獣人と会うとなにかまずいことでもあるのか?」
フレイザーのその問いかけに、三人は呆れたような顔を向けた。
「フレイザー…まさか、獣人のことまで忘れちまったのか?」
「え……ま、まぁ、そうみたいだな。」
不自然な笑いを浮かべながら、フレイザーが答える。
「ってことは、エリオット…おまえもか?」
「う…うん…」
頷くエリオットに、三人は小さく首を振った。
「あのなぁ…獣人ってのは、動物と人間の中間みたいな種族でな。
地域によっても違うが、だいたいは尻尾があって全身が毛で覆われてる者が多い。
言葉は俺達と同じものを喋るし、生活も人間とほとんど変わらない。」
「おまえ達は、獣人の村があるって知った途端に態度が変わったように見えたが、その獣人達に何か問題があるのか?」
「あぁ、その通りだ。
大昔は、獣人と人間達は仲良く暮らしていたらしいが、ある時代から、人間達は獣人を迫害し始めた。
あんなものはただの獣だと、奴隷のように扱ったり、狩りの標的にしたり、中には食われた者もけっこういるっていうぜ…」
「ひ…酷い!!」
瞳を潤ませたエリオットが思わず声を上げた。
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