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「そうか、やっぱりわけありだったんだな!
そうじゃないかと思ったんだ。
あんたの姉さんがここに来て二日程した時、たいそう柄の悪い男達がやってきてな。
あんたの姉さんのことをいろいろ聞いてった。
あと少し遅かったら危ないところだったな。」
「そ、それで……そいつらにはなんて?」
「あんたの姉さんを助けてやりたい気持ちはあったんだが、どういえば助けになるのかがわからなかった。
だから、来るには来たが、どこに行くとかは聞いてないからわからんと答えておいた。
それでも奴らはしつこくてな……」
老人は、うんざりした顔で小さく首を振る。
「じゃあ、姉さんの行き先はわからないんだな?」
「そうだな。
ただ、ポーリシア行きの船は四日前に出たばかりだと言ったから、カルボには向かわないと思うんだ。
だが、もしも、パルメンに行こうと思ったなら、行ってないとも言い難いが……」
老人は、腕を組み、困った様子で首をひねった。
「……ラスター…カルボっていうのは、俺達が着いた港町だよな?
それじゃあ、もしかしたら俺達は逆に考えてたんじゃないか?
俺達は、巫女や男達がカルボからここへ向かったと考えていたが……」
フレイザーはラスターにそっと耳打ちした。
ラスターは、フレイザーに向かって深く頷いた。
「なぁ、爺さん、カルボ以外で『別の港』って言ったら、普通どこのことを言うんだ?」
「別の港?
大きな港ってことでいうならパルメンだな。
だが、便利ってことでは、レイボーンかもしれん。」
「それらはどのあたりなんだ?」
ラスターは、老人の前に地図を広げた。
老人は、地図を手に取り、目を細めてそれを確認すると、再び、皆の前に広げて置いた。
「ここがパルメン。
そして、レイボーンがここだ。」
老人はそう言いながら、順番に二か所を指差す。
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