39






「元気でね〜!」

「イリヤによろしくね〜!」



次の朝早く、六人は、アンディ一家を見送りに港に向かった。



「どうもありがとうございました!」

「皆さん、お世話になりました〜」

「ばいばーい!」

港を離れる船の上からアンディ夫妻や子供達が声を張り上げ、六人に向かって手を振り、六人もまたそれに負けないように手を振り返す。
やがて、汽笛と共に船影は小さくなって、港にいた見送り客の姿も潮を引くように去って行った。



「イリヤ、きっと驚くだろうね。」

「そうだな。
それに、きっと喜ぶだろう。
サンドラさんの家も急に賑やかになるな。」

「良かった。
これで皆幸せにやっていけるね!」

エリオットとダルシャは、顔を見合せて微笑んだ。







昼過ぎの出航まで思い思いに時間を潰した六人は、ようやく到着したノーランシア行きの船に乗り込んだ。



「あぁ、またしばらく退屈な船旅が始まるんだな。」

ぶつぶつと独り言を言いながら、ラスターは甲板から港を見下ろす。



「なぁに、時間なんて意外と早くに過ぎ去るものさ。」

「……だと良いんだけどな……」



六人を乗せた船はゆっくりと港を離れ、新たな大陸へ向かって進み始めた。




(フレイザー……もうすぐだね。
元の世界に戻れるまで、あと二つ……)



甲板で肩を寄せ合って海を眺めるフレイザーとジャネットの後姿をみつめながら、エリオットは心の中でそう呟いた。


- 587 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

トップ 章トップ

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -