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「まだまだあるから、たくさん食べてね!」

「はーい!」

「はーーい!」



陽が暮れて、セリナ達が近所の店から集めて来た食材で夕食を作ると、子供達は目を輝かせて料理にかぶりついた。
それをきっかけに、六人に対しても怯える事なく急に打ち解けて接するようになった。



「あぁ、こんなことならエレのケーキをもらってくるんだったね。」

「ケーキ!?アンナ、ケーキ食べたい!」

「食べたい!食べたい!」

一人が騒ぎ出すと、他の子供達も同じようにテーブルを叩いて騒ぎ出す。



「ケーキはない!
今日はこんなにご馳走してもらってるんだ!
無理を言うんじゃない!」

イリヤの父親・アンディの怒鳴り声に、子供達は一斉に騒ぐのを止め、また静かに料理を食べ始める。







「今日は本当にどうもありがとう。
狭いからゆっくりとは出来ないだろうが、野宿よりはマシだろう。
この村には宿はないから、我慢してくれ。
俺は子供達と一緒に寝るから、あんたらは俺の部屋とここに分かれて休んでくれ。」

「アンディさん、少しお話して良いでしょうか?」

「話……?なんだい?」

アンディは、ダルシャの向かいの長椅子に腰を降ろした。



「差し出がましいことを申しますが……
ご家族でイリヤの住む町に行かれてはいかがでしょう?」

「イリヤの……?でも、なんでそんなことを……」

「今、イリヤはサンドラさんっていうおばあさんの家に住んでるんだけど、そこはとっても広いんです。
皆で押しかけても十分暮らせるだけの部屋数がある。
それにね、これからは新しいケーキやパンを作って売り出そうって話も出てたし、人手が必要になってくると思うんです。
だから、おじさん達が行ってくれたら、イリヤもきっと助かると思うんです。」

ダルシャの代わりに、エリオットが横から口を挟み事情を説明した。


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