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「まず、ボクが最初にミラクルファンタジーみたいな世界に行きたいって願ったんだよ。
あの時、石はすぐに割れたよね?……だけど、本当にその願いが叶えられてるなんて気付いてもなかった。
君は、ボクが不注意で壊したみたいなことを言ったからボクは何もしてないって言って……そうだ、確か今度は君に願いをかけてみたらどうかって言ったんだ……」

エリオットは当時の記憶を探り、少しずつ思い出しながら、ゆっくりと話す。



「そうだったな!……で、俺が大人になりたいって言って……そうだ、そうだった。
それで、また俺が今度はエリオットを魔法使いにしたんだよな?」

「違うよ。
その前にボクを女にしたんだ。
その後で、魔法使いにして……それで、最後はボク達の記憶を消したんだ。
みんながボク達のことを忘れるようにって…それも君だよ。
そうだ……ボクは最初の願いしかかけてないんだ!」

エリオットは、思い出してすっきりした記憶に手を打った。



「良かったなぁ……
危ない所だったんだな。
もし、そんなことでおまえが死んでたら、俺……
あぁ、本当に良かった!
生きててくれてありがとうな!」

「や、やめてよ、フレイザー!」

抱き締めようとするフレイザーの手を、エリオットは必死になって振り払う。



「なんだよ、そんなに本気でいやがることないだろ。」

「フレイザー…そういうことが、誤解を招くんだよ、わかってる?
誰かに見られたらどうするんだよ。
ジャックはボクが男だってこと知らないんだから、誤解を招くようなことはしちゃだめだよ。」

「……女って、全く難しいな。」

「君が無神経なだけだよ。」

「酷いなぁ……
じゃ、誰かに誤解されないように、そろそろ帰るか……」

「そうだね……」



二人は並んで宿への道を戻り始めた。



「あ……そうだ!」

何かを思い出したように、唐突にエリオットが声を上げた。



「なんだ?」

「フレイザー……今、思い着いたんだけど……
あのオレンジ色の願い石は……」

「どうした?何がしたいんだ?
あれは、おまえのために使ってくれっておばあさんから言われてる。
遠慮する事ないぞ。」

「あの石は、僕達がここを離れる時に使ってほしい。」

「……どういうことなんだ?」


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