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ラスターの話というのは、道具屋から聞きこんだものだった。
それは、このあたりに古くから住む薬屋の老人が、願い石の在りかを知っているという話だった。



「なんだって?ダグラスさんが?」

「名前までは聞かなかったが、このあたりの森の中に住んでるって言ってたぜ。」

「じゃあ、間違いない。
やっぱりダグラスさんだな。
俺達もちょうどその人に会いに行く所だったんだ。」

「なんだ、それじゃあ、わざわざここまで来る事なかったな…
しかし、それにしちゃあ、緊張感のない雰囲気だな。」

「なんで緊張感がいるんだ?」

「だって、その森にはものすごい魔物がいるんだろ?」

ラスターのその言葉に、四人は顔を見合わせ、一瞬の間を置いてから噴き出した。



「な、なんで、笑うんだよ!」

「ラスター、それはね…」

皆の笑いの意味をセリナが丁寧に説明する。



「ダルシャのための嘘?
……でも、道具屋の親父はその薬屋の爺さんから聞いたんだぜ。
爺さんは、願い石は自分の曾爺さんがある場所に隠したと言ってたらしい。
場所はわかってるんだが、そこには強暴な魔物がいるから爺さんは願い石を見た事はないと言ってたらしいんだ。」

「なんだかおかしな話だな。」

「とにかくダグラスさんが住んでる森は入り組んではいるが、強暴な魔物がいるとは聞いていない。
もし隠してあるとしたら、別の場所だろうな。」

「そっか。とにかく、剣を持って来ておいて良かったよ。」

フレイザーは腰の剣に手を添えた。



「なんだ、フレイザー、その腕で強暴な魔物と渡り合うつもりか?!」

ラスターがフレイザーをじんわりとみつめ、意地悪い微笑を浮かべる。



「バ、馬鹿にするなよ!
俺だって、少しくらいは戦えるぞ!
なんなら、今、ここでおまえと…」

「フレイザー、よせ。
仲間と諍いを起こすために、私はおまえに剣を教えたのではない。」

剣を抜きかけたフレイザーをダルシャが厳しく諌めた。


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