「それにしてもすごい苦さだったなぁ…」

しばらくすると、フレイザーの頭痛は嘘のように治っていた。



「でも、効き目は確かでしょう?」

「まぁ、それはそうだけど…」

フレイザーは、少し冷めたくなった肉料理を頬張った。



「君があれほど酒に弱いとは知らなかった。
無理にすすめて悪かったな。」

「いや、最近しばらく飲まなかったからたまたまああなっただけだ。
普段ならあのくらいなんでもない。」

「以前は飲めたというのか?
……でも、君は昔のことは記憶がないんだろう?」

「そ、それはそうだけど、なんかそんな気がするんだ。」

必死で取り繕うフレイザーを見ながら、エリオットは肩をすくめる。



「それはそうと、リュシー叔母様、このあたりに魔物の森っていうのがあるって聞いたんだけど…」

「魔物の…ええ、ありますよ。
魔物の森がどうかしましたか?」

リュシーは、ダルシャに視線を移し、意味ありげな微笑を浮かべた。



「実は……」

話しかけたエリオットは、ダルシャに確認を取るように彼の顔を見る。




「叔母様…実は私達は願い石を探して旅をしてるんです。」

ダルシャはエリオットに答える代わりに、自分で話し始めた。



「願い石って、あの願い石のこと…!?」

「そうです。」

ダルシャは、セリナが石の巫女であることや、彼女の母親の危機のこと、エリオットやフレイザーは記憶をなくしていること、そして、この近くに願い石があることなどを簡潔に話した。



「まぁ、そんなことが…」

「あと、もう一人、仲間がいるんだけど、そいつの願いは特にたいしたことはないんだ。」

「その方は、どうして一緒に来られなかったの?」

「え…?あぁ…あ、そいつはちょっと人見知りするやつなんだよ。
それに、石がこのあたりにあることを知らなかったから、ここには来なかったんだ。」

「そうだったの…
あら?でも、あなたはどうして…」

リュシーが、不思議そうな顔でダルシャをみつめる。


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