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「さ!いざ行くわよ決戦へ!」
「…決戦じゃなくて合コンでしょ…」
テンション高過ぎだっつーの。
あっという間に時は過ぎ午後八時、とある居酒屋に私は友人たちと向かっていた。決戦と豪語していた友人は熱狂的なETUのファンらしく、それに加えて今日参加するあっちのメンバーに意中の人がいるらしい。この話が出てからずっとあの調子で、ちょっとうっとうしかったのは内緒だ。
「そんなにテンション高いと逆にひかれちゃうわよ」
「それは嫌ー!おとなしくするー!」
そんなやり取りを見て皆で笑った。忠告したのは私の親友とも呼べる、神崎柚布子だ。実は今日の合コンのセッティングも彼女がした。というのも、どうやらETUに幼馴染みがいるらしく、その伝でらしい。ズバズバ言うタイプだけど、姉御肌でサッパリとした性格からか、敵はそんなにいない。
「でもさーテンション上がりすぎて面と向かって話できなかったりしてね」
ポツリとつぶやくと、以外にも周りに聞こえていたらしく「ありえるー」と口を揃えた。「いやー!本当にありそうだからそういうこと言うなー!」「って自覚してるんかい!」そしてまた笑う。なかなかやかましい。人通りの少ない道で良かったと思った。
話をしているうちにあっという間に目的地に到着。予約していた席へ行くと、相手方はもう既に席についていた。
「あら珍しく早いわね」
「割りと早め練習に終わったんだよ」
柚布子が話しているのは幼馴染みというえーと…堺さんだろう。
友人は意中の人がこんなにも近くにいることに感動したのかはしらないけど、顔がトマトの様に真っ赤だ。片手で顔を隠して、空いている手は私の腕をがっちり掴んで離さない。
だけどなかなか痛い。私はやんわり彼女の手を離し、肩に手を置き一言。
「(好きな人の)女になってこい」
「ちょ、それかなり語弊あるよ!括弧のなかいわなきゃ!」
佳奈〜!と名前を呼ぶ声をさらりと交わして席に着く。自己紹介とかあるのかなやっぱ。合コンなんて参加したことないからちっともわからなくて困る。
軽く自己紹介したあと乾杯して各々飲み始める。私はあんまり飲める方じゃないから軽いのをちみちみ飲んでいる。
柚布子はかなりの酒豪だからきつめのお酒をぐいぐい飲んでいる。いつ見てもいい飲みっぷりだ。
相手側はやはりプロ選手だからか、飲むのは若干控えているみたいだけど、弱いのかすでにつぶれている子がいる。…椿君…だっけ?顔を真っ赤にして机に突っ伏している。が、他の人たちは普通に飲んでいる。…いいのかそれで。取り敢えず聞いてみると、「大丈夫!いつものことだから!」と豪快に笑って返された。ほんといいのかそれで。
ちろり、と椿君を見ると先程と変わらない格好。うーんという唸り声とともに水…という声も聞こえた。このままほっぽっとくのもあれなので、水を持ってきてあげた。
「おーい椿くーん、水だよー起きてー」
少し体を揺すって起きるように促す。ノロノロと起き上がる彼の手にコップを持たせるが、あまりにも心許ないので手を添えて口まで運んでやる。…何でここまでしてあげてんだろうか私は。
飲みきり、コップを机に置くとまた机に寝ようとしていた。…ああもう風邪ひいたらどうすんの。
一つ溜め息を吐くと、彼の頭を膝にのせ、着ていた上着をかける。
「あら、椿君ほんとお酒弱いわね」
「あー椿膝枕してもらってる〜!ずるー俺も俺も!」
「はい調子乗んなバカガミー。佳奈、椿君頼んでいい?」
「あいよー」
寝ている彼の頭を撫でると、すりよってきた。…猫か?
いいえ、犬です何か弟ができたみたいだ。
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※これはジーノ夢です…多分←
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