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ラズル・ダズル
▽140字SS
(ローコラ)【誰も欲しくない】
手を伸ばされたら振りほどくき傷つける。野良猫のように飛び跳ね、一定の距離を保ち、警戒の色を消さない。もう、大事なものは何一つ欲しくない。…だから、追いかけてまでナイフを振りかざし、纏わり付いてまで銃を向けるのか？孕み始めた矛盾に、ローはきつく目を閉じた。
▽140字SS
(ローコラ)【愛情に似た執着】
「俺はお前を殺す。壊す。何もかも、壊すんだ」
「…何笑ってるんだ。俺は本気だぞ！」
頬を引き裂くように伸びた口紅を、苛立ち紛れに指で拭う。紅がよじれても、唇は上向いていた。指に付いた口紅を、自分の頬に押し付ける。揃いのように頬を裂く紅が引かれる。
「次笑うのは俺だ」
▽140字SS
(キャべバル)【一緒に帰ろう】
怒っている。頬を膨らませ眉を顰めわかりやすく怒っている。いつもなら放っておくが、手に持つ買物袋の中身が高級料理になるかゴミになるかは彼の機嫌次第だ。
「何怒ってんだ？」
「…僕は右手を空けてるぞ」
俺はすぐ横で揺れるキャベツの右手を見下ろす。ああ、そういうこと。
▽140字SSキャべバル
【無理するのは得意】
「俺に合わせて無理するな」とそう言われ、キャベンディッシュは眉間に皺を寄せた。
「お前が好きな店に行けばいいべ」そう言われ、ファーストフード店の泥水のような珈琲を、無理やり飲み干す。
「ふん…バカにするなよ。君と付き合ってるおかげで、無理するのは得意なんだ」
▽140字SSドフコラ【誰にも渡さない】
兄の足元に女の死体が転がっている。
「コラソン…身の回りには必要なものだけを置くもんだ」
これは必要だこれも必要だこれも要るな。洗面台の歯ブラシ、テディベア、羽ペン。これは不要だこれも不必要これもいらねぇな。女物の腕時計、指輪、死体。不要なものは窓から捨てられる。
▽140字SSロキド【新婚ごっこ】
「弁当は俺がつくるぞ」
「ああ」
「んで、出かける前はキスな」
「ああ」
「そんで帰ってきたらご飯か風呂か俺か聞く。ハハ！ベタだな！」
「ああ」
「それから、それから」
「ああ、全部やろう」
出せない婚姻届が涙で滲む。判は二つだけ。空白だらけの婚姻届だ。それでも、幸せだった。
▽140字SSドフコラ
「コラソン、お前は色々と足りねぇなぁ」
頭も足りねぇ、注意力も足りねぇ、力も、能力も、意志も！
「大丈夫だ、俺がいる。お前には俺がいるさコラソン。俺に任せな。俺に委ねな」
何も見るな。何も聴くな。何も話すな。何も考えるな。
「足りないお前の全ては俺が補ってやる！」
▽140字SS
(キャべバル)【全部君のせい】
髪はボサボサ。瞼が熱い。鼻水も出る。みっともないから止めたいが、嗚咽は続く。
「おい、いつまで泣いてんだべ…」
吐く息が熱い。乱れている。みっともない。
「全部、君のせいだ…！」
病室でギブスに固められた足を吊るす男は不満げな顔をする。
「2度とバイクには乗るなバカ！」
▽140字SS
ロキド【愛してみろ】
まだ慣れないネクタイを掴まれ、引き寄せられる。近い。鼻先が触れそうだ。
「いつまで逃げる気だ、キッド」
やはり、会いたくなかった。怯えている、戸惑っている、躊躇っている。そういう自分を知りたくなかった、会いたくなかった。
「逃げんな、びびるな…愛してみろよ、キッド」
▽☆
あ、そういえば拍手をロー誕小説に変えました！おめでとうローさん
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