――それは遠く遥か昔の歴史。古の伝承。豚を逃がした罪を責められ、奴隷から自由の身となるも、その背を追われた心優しき少女ユミル。
まだ幼い少女は声なき声で涙を落とし、行くあてもなくさ迷い歩いていた。やがて辿り着いた大木に身をひそめる事にした彼女。しかし彼女は突然として木の根にぽっかり空いた底なし沼へと深く深く堕ちていき、そして。
ゆっくりと落ちていくユミルのイメージと、ウミの姿が重なったのだった。
小さな少女の尋常ではない力によって引きずり込まれたのは浴槽の中なのに。どうして自分の身体は深く底まで沈んでいく感覚がするのだろう。
だが、不思議と苦しくはない、青い光を浴びた冷たい水中は海のようにどこまでも広がって自分を包む。
海は広く、そして塩辛いのだと。自分をこんなにも心動かす存在であるリヴァイは自分にそっと打ち明け、話してくれた。
あぁ、自分もいつか彼に手を引かれて歩いた海を渡り、そして広い世界を見てみたい。そう望みを口にすればリヴァイはウミのどんな小さな願いも叶えてやると微笑んでくれて、そして手を取りお互いに皺が皮膚に刻まれるまで、白髪になるまで歩んでいこうと、何処に行くときも自分達は一緒なのだと――。
その時、自分をそっと掬い上げる大きな手の温もりに気が付いた。その手の主が誰かはよく見えない、もしかしたら。
そんな予感に胸の高鳴りを覚える。リヴァイが助けてくれたのかもしれない、淡い期待の中でそっと目を開く。瞼の裏でも彼の姿をいつでも自分は思い起こせることが出来るのだ。最愛の彼の名を呼んだ時、自分はまたあの不可思議な光の降り注ぐ美しい世界に居た。
その場所は、この光景は、分かる、魂が理解した。しかし、自分をここに引きずり込んだのはリヴァイではなかった。この「座標」に時間軸は存在しないのだと言う。ユミルの導きでここにたどり着いたウミを待っていた。
「やぁ、ウミちゃん。よく来てくれたね。ずいぶん遅かったね待ちわびたよ……。本当に」
「ジーク……イェーガー???」
目の前にいるのはすっかり長い年月を経たかのような顎に蓄えた長いひげを生やした風貌の上半身裸のジーク。
ようこそ、生も死もない世界。そもそも、時の概念が存在しない世界。これがエルディア人の罪なのならば、どれだけの償いが必要だと言うのか。
自分は始祖ユミルによって「道」を通じてやがて辿り着くとされる世界ここが「座標」ここに連れて来られた理由が理解出来た。
その時、水中の中に引きずり込まれた感覚に酔ったのか、ウミは我慢できずにその場で嘔吐してしまった。
しかし、ほとんど何も口にできないせいで吐いても空っぽの胃袋からもっと深い場所まで浸食されて出てくるのは吐きすぎて傷ついた喉からの赤い血の混じる液体だけ。這いつくばって伏せたままのウミを見てジークがさもめんどくさそうに、何かを察したかのように問いかけてきた。
「ちょ、ちょっと!! ねぇ、大丈夫?? あのさ……見ない間にすっかり痩せて、果てしなく嫌な予感しかしないんだけど、もしかして子供いるの?」
隠すまでもない、事実を伏せた所できっと彼にはみんなお見通しなのだから。意を決してウミは静かに頷いた。
「……はい、」
「ええっ!? いやいや、ちょっと待ってくれよ全く君ってやつは……本当にもう、エルディア人をこれ以上増やしてどうするのさ? あ、でもリヴァイとの子供ならアッカーマンの子供なのか……もしかしてそれはパラディ島の悪魔たちに命じられたの? アッカーマンとの子供をたくさん産んでリヴァイみたいな奴を沢山パラディ島の戦力にしろって……悪趣味だな〜本当に嫌になっちゃうな」
「違う!! そんな風に言わないで!! 確かに、アッカーマン一族の復興もパラディ島の為にも必要なのは事実でしょう? でも、義務だとは思ったことは無い、私も、リヴァイも合意の上で望んだ上でのこと、でも! リヴァイとの子供を妊娠したのはそんな理由じゃない、それに、授かったのは、これが初めてじゃない……。結婚して家族になって、愛する人との子供が欲しいと思うのは、女だったら、誰だって……思うのが自然なのに、あなたはそれを無くそうとするんでしょ? 自分達が、これ以上繁栄しない様に」
「しかし、こんな時に何だってまた……。俺の「エルディア人安楽死計画」に賛同したから始祖ユミルの力でここに来たんじゃないの? もうこれ以上エルディア人を増やさずに静かに滅んでいくための計画だったのに、イェレナがどうにか隙を見て接触してようやくウミちゃんに伝えてくれたと思っていたのに。まったく、エルディア人が子供なんて作るもんじゃないって事がどうしてわからないのかな。マーレに来れば分かるけどもね、生まれた所で幸せになれないのに。俺がどうなるかわからないから止めろって言ったのに言う事も聞かないで知性巨人の力を受け入れて「始祖ユミル」が遥か昔になったとされる巨人になったのは良いけども、痛みに耐えきれなくて巨人化した瞬間、お腹の子供は勿論死ぬんだよ?」
エルディア人の未来を憂い、自らの存在さえなかった事にしたい。ジークは巨人科学者でもあり前「獣の巨人」でもあるクサヴァーとの交流の中、「安楽死計画」を思いついた。互いの意思を同じに。ジークが求めたのは「エルディア人の存在を世界から消す」こと。自分達「ユミルの民」の体の設計を変え、生殖機能を奪い、子供が生まれないようにする。子供が出来ない、それはつまりこれ以上エルディア人が増えないと言う事だ。
やがて子供が生まれない事で「ユミルの民」の人口が徐々に減少していく、そして、「地鳴らし」を外国に対する抑止力として使い、国を守るのだ。そして子供が出来ないままやがて「ユミルの民」の自分達は近い未来完全に消滅するまではその抑止力を盾に静かに衰退し、やがて絶滅していく。滅び行く定めに従って。
そして、その「地鳴らし」を呼び起こすにはジークやヒストリアのような王家の血を持つ人間そして現在「始祖」を持つエレン。
そして……「原始の巨人」の力を得たウミの存在が必要不可欠なのだ。
「初めて巨人になったとされるユミル・フリッツの脊髄液を代々開発してきたジオラルド家は秘密裏にそれをようやく完成させた。だけど、それは攫ってきたエルディア人の女性を利用した非人道的な実験だとお父さんは知ってその全てを焼き尽くしてそしてマーレを捨てた。そしてパラディ島に逃げてきたの。お父さんはエルディア人の未来を嘆いていた。だから、私はお父さんの願いを叶えるために、それを受け入れて……私は新しい知性巨人として生まれ変わった。ううん、私は、取り戻したの。本当の私を……」
記憶に流れ込む忌まわしき悪夢の中で、王に支配され、今もこの座標で延々と巨人を造り続けている少女。
愛していた男と同じ血を持つエルディアの王家が命じるがままに。欲するがままに。この場所に時の概念も忘れ一人ぼっちで。
そして、胸に手を当て、ウミは自分の「名前」を告げた。エルディアの血を持つ王家の人間に跪くかのように。そして、王に支配されたからではなく、自らの意志で自分は王に跪くのだと。
「私は、ジオラルド家の始祖の再来として遺伝子操作でこの世に産み落とされた人間、ウミ・ジオラルドそのものだと。そして私が今一度ここに蘇ったのは王家の力を持つ人間が座標の力を手にするその時、その願いを叶える「始祖ユミル」そして「座標」になる為……。私は、調査兵団分隊長でリヴァイと結婚したウミだと思ってこれまで生きてきた。でも、それは違う……私も、初代王に支配されるただの奴隷の運命を背負った人間だった。いずれ私はこの道が交わるこの「座標」そのものになり次の王の願いを叶えるためだけの人柱になってこの世から消える」
「そう、だったのか、やっぱり……君はジオラルド家初代当主ウミ・ジオラルドそのものか、そして、君が……そうだ、ああぁ、これで俺の願いが、クサヴァーさんと約束した願いを叶えられるんだね」
「始祖」の巨人の力を得るために研究を続けてきたジオラルド家。しかし、祖先の元を辿ればジオラルド家はユミル・フリッツのその娘であるマリア・フリッツを祖先とし、マーレ人とエルディア人の双方の血を持つ祖先にフリッツ王家を持つ一族だった。
ウミは知ってしまった、自分が座標として王の願いを聞き入れるだけの存在・「始祖ユミル・フリッツ」として現世に彼女を具現化させる器として遺伝子操作により作られたクローン人間だと言う事を。
ウミの頬を幾重も伝ったのは、真実を知り確信した知りたくもなかった自分の忌まわしき出生への激しい悲しみと怒りに対する涙だった。自分が生まれた事さえも呪った。父親は自分を利用するそのためにこれまで育て、そして巨人に襲われても生きていけるように調査兵団へ率いて、そして自分を死なせない為に犠牲となって巨人に食われたのだと。自分がこの日まで生き抜けるように。
――「ウミ、お前はな、この世界で幸せに過ごすんだ。どんな人間でも生きる権利は誰にも咎める事は出来ない、不幸な人間なんて誰一人としてあっちゃいけねぇんだ」
亡き父親が道の向こうで囚われている。エルディア人は、ユミルの民は始祖ユミルと共に成仏することなくこの道で永遠の奴隷として死して尚も生き続けるのだ。
「君が「原始の巨人」を受け入れたことで君は始祖ユミルそのものになる。一度だけじゃなく何度も彼女に会ってたでしょ、ねぇ?」
「うん、会ってる。けど……ユミル・フリッツは奴隷として舌を切られてしまったから……話すことは出来ないの。虚ろな目がただ悲しげに私をこうして呼んでここへ連れてくるの。そしてジークさん、あなたはヒストリアの家とはまた違うフリッツ王家の血を引く人間。元を辿ればあなたは今現在始祖の力を持つエレンと接触することで始祖ユミル・フリッツとして私の中で眠る「座標」を使ってあなたのその安楽死の願いを叶える」
そもそも今も口にしている言葉が本当なのか、信じたくないと言うのに。まさか普通の平凡な家庭で生まれ育った自分がずっと前に死んだ筈の自分の父親の家計の始祖のクローン人間だとかユミル・フリッツの魂を取り込んでいるだとか、あまりに突拍子が無さ過ぎる。だが、自分が受け入れた事で全てを知り、そして思い出してしまったのだ。自分は許されざる恋をしてやがて日に焼かれて死んだあの熱さもじわじわと浮かび上がってくるのだ。
「そもそも、どうして君の父親が敢えてマーレで君を育てなくなかったのか。何故別のあの島に送ったかというと、そもそもジオラルド家には初代ジオラルド家の遺言が残されていたかなんだよ。君がマーレで生まれていればきっと初代ジオラルド家の再来、そして始祖ユミル・フリッツの脊髄液を注入して「原始の巨人」の力を持つユミルと同じ命じられるがままに王に従い座標の力を持つ君を利用しようとする奴らが後をたたなかっただろう、」
「利用って? 私は傍から見れば、普通の人間なのに」
「そうだね、君は間違いなく人間だよ。ただ君は普通の人間じゃない。ジオラルド家の当主ウミ・ジオラルドそのもの。そして君は始祖ユミル・フリッツの脊髄液を打ち込んだ「原始の巨人」」
聡明な知能を持つジオラルド家は実験を続けた、しかし何百年とも女児は一向にジオラルド家には生まれなかった。なぜなら、全てはこの瞬間の為。ウミが生まれるこの時代を待っていたからだ。ジーク、そして、エレン、異なる三人の存在が柱となり世界を大きく変える為。
「実験は成功した。君は父親の力で初代ジオラルド家としてこの世に再び蘇った。けどそれは君を狙う奴らを増やす事にもなる。マーレは全力で君を奪い返す筈だ。君の父親はマーレ人の貴族でありながら、反マーレ政府へ支援していた。なぜなら君の父親は、エルディア人の女と恋に落ちて、そして自分の立場をわきまえずに駆け落ちして、そして君のおじいさんに捕まり、彼女は巨人化の実験体にされた。君の父親は、エルディア人の迫害される未来を、見た目は人間なのにユミルの血を分けたユミルの民を俺と同じく憂いていた、だから君をどうにかして生み出して君をユミルとしてゆくゆくは君を「座標」にしてそれをマーレに知られるのを回避する為に君をパラディ島で産んだってわけさ」
とても信じられない。しかし、クサヴァーから聞かされた自分の存在を知り、彼はずっと会いたがっていたのだ。自分と、そして、父親が島の王家から奪った「始祖」と「進撃」の力を持つエレンと。見つめるジークの表情は真剣そのもの。嘘ではない事がよく分かった。
「始祖ユミル・フリッツは王の血を持つ人間の願いを叶えるため、この座標で延々と巨人と作り続けるだけの存在だ、遥か昔何千年も前から。愛した王の命令には逆らえないから、成仏も出来ない、だから王家の血を引く俺をユミルは自分の意志など関係なく受け入れてくれるはずだ」
ジークの突然の言葉にウミは目を見開いた。その言葉通りに、逆らいたくても声が出ない、閉ざされた口は重く、無理やり両手で上下くっついたように離れない唇を引き離そうとすれば唇の皮がそのまま引き裂ける勢いで激痛をもたらし、耐えがたい痛みに苦悶の声をあげる事しか出来ない。
自分の意志がもうわからないのだ。確かに愛していたのに、リヴァイを愛していた自分さえも、どんな姿をしているのか、分らないのだ。リヴァイに愛されていた自分さえもう信じられない。
リヴァイと触れ合えばそれだけで確かに満たされていた感情さえ、遠のいていく、アイデンティティの崩壊だ。
だって自分は作られた存在なのだから。父親を怨むしかなかった。
「俺は君を――いや、始祖ユミル・フリッツにお願いするよ。この座標から交わる道の力を使って「エルディア人安楽死計画」を実現する。その為には君と、そして、エレンの力が必要なんだ」
王の命令に逆らえないのは、いや違う、逆らうことなどしなくていいからだ。自分は王を愛しているのだ。そう、目の前のジークが今の自分の愛する王。愛する人の願いを叶えたい始祖ユミル・フリッツが何千年もこうして成仏もせずここに居るのは愛する夫の願いを叶える為。それだけ、あまりにも無垢で純粋な願いだった。
自分には痛いくらいに始祖ユミルの気持ちが分かった。だって自分もリヴァイを愛しているから、彼が叶えたい願いを叶える力があるならきっと自分もユミルと同じ道を選ぶだろう。
この感情も、作られた紛い物だと言うのか。開かない口を、無理やりひん剥いてウミは抵抗した。
「ちょ、っ、ちょっと!! 何やってんだよもぉぉぉおぉ!!!」
黙れと言わんばかりに閉じた自分の口に頭に来て、本当の自分さえ壊れてしまいそう、だがウミは相変わらず懐に隠すことを止めなかったナイフを取り出すと、そのまま――開かない唇に突っ込んで無理やり真横に引き裂いたのだ!!
しかし、不思議と痛みはない、ジークが青ざめた顔で明らかに引いているが構わない、ぼたぼたと唇から流れる血が床に落ちるも、巨人化の力をもってすれば傷は蒸気を立てて静かに塞がった。
「はぁ―――……残念だけど……それは出来ない! あなたの願いを叶えたら、今私のお腹の中で悪阻でろくに栄養がとれていない中でそれでもすくすくと育っている命が奪われてしまう。私は今は巨人になるわけにはいかない、そうか、そうよ……。だからこそ、お父さんは巨人になってしまうエルディア人の未来を憂いていた。でも、あなたみたいに子供が生まれないようにしたかったんじゃない、どうにかして、巨人になる要因が無くなれば、そうすれば私たち「ユミルの民」は普通の何ら変わりない人間として生きていける……。悲しい思いをしなくていい事になる。だから、私を産んだ。私に全てを、託したの……! エルディア人の未来を、お父さんはエルディア人もマーレ人も関係なく全員が幸せになれる事を望む人だから……!! 私がお父さんの意志を知り、「座標」の人柱になれば私は私の意志で「座標」を発動出来る――。私が、あの子を成仏させて私がユミルになればいい。「ウミ」という人間はこのまま消えるかもしれないけど、リヴァイにも二度と会えなくなるかもしれないけど、だって、お父さんは言っていた。この世に生まれて来なければいい命なんてひとつもないって。それは人間が決めてはいけない、王でも許されない事だと。私は、「始祖ユミル」の巨人化薬を打つまで子供が出来ない身体だった。でも、巨人になった今だから愛する人と愛し合ってそして、リヴァイとの子供を授かることができたの」
このままあの日の夢の続きを。リヴァイと見たいと思った。だけど、どう願っても、もう、自分は二度とあの楽園には戻れない。
ジオラルド家に女児が生まれたとなればその女児に自分の遺伝子を注げと告げて、そして自分の父親は自分をこの島で産んだ。そして、この血を根絶やしにさせないように自分を守り続けたのだ。
そして自分がどうしてこれまで幾度も巨人の口の中を見つめても生きているのか。どうして父親は多くの危険を冒してまでもこの島にやって来たのか、全てはいつか来る瞬間の為だったと知るだろう。
ジオラルドはかつての古の神の名前である。
自らの民族の宿命を憂いエルディアの王が仕組んだ巨人大戦の中で、ジオラルド家の始祖でもある当主の女はかつてエルディア人に成りすましてフリッツ王の警護役として潜入する中でエルディア人と許されざる恋に落ちた。
そしてジオラルドの当主はやがてエルディア人との間の子を身ごもったのだ。巨人大戦の中でジオラルド家の女当主もマーレと情を通じた者としてマーレに裏切りの烙印を押された。
自らの存在に追い込まれた彼女はマーレの英雄でありながら生きながら火あぶりの刑に処されたのだ。
燃え盛る炎に焼かれながら彼女は無我夢中で叫んだ。長い髪を振り乱しその度に火の粉が巻き上がる。あらん限りの声で自分達の子供達や家族へ断末魔の声と共に叫ぶのだった。ウミはその記憶をなぞり呟いた。
「かつてジオラルド家の初代当主は言ったの「いいか! よく聞け! 私は私として必ず蘇る! いつかこの一族から女児が生まれれば、その女児を私に捧げよ!! 楽園の巨人は私の目覚めと共に目覚める! 私を裏切った民族へ必ず復讐を果たす為、必ず私は蘇る。ユミルの民の王と共に」と」
ウミの言葉を聞き、ジークはやれやれと頭を抱えた。
「……やれやれウミちゃんには、お見通しってわけか、いや、もう君はウミちゃんでは無い。初代ジオラルド家の当主ってわけか、」
「きっと私が始祖の再来だとか、ジオラルド家の事は、お母さんはその事は知らない。初代ジオラルド家の肖像画を見たの。当主に私は完全に瓜二つ。どうして、私を造ったのかお父さん……カイト・ジオラルドがどうしてここに来なきゃならなかったのか。理解して、そして、知性巨人「原始の巨人」になった」
悲しむことなのだろう。自分は父親の個人のわがままで、生まれたのだから。しかし、自分の生を否定などしない。
「悲しくなんかない、それでも私はこの世界に生まれてきて良かったの。だって、
あの人に、リヴァイに出会えた。
ねぇ、聞いて。私は、何千年も何百年も昔に得られなかった愛を本当の愛を、リヴァイはからたくさんもらった、あの人が私に心臓をくれた、私の身も心も、全て愛してくれた……。だから、私はあの人に愛された記憶を持って、死んでいこうと思う」
2021.09.09
2022.01.30加筆修正
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